IDC Japan 株式会社は、製造業の企業間データ連携に関する調査結果を発表した。調査の結果、今後、国内の製造業において、カーボンニュートラルの実現に向けた、サプライチェーンにまたがる企業間データ連携が進むと、IDCは予測している。
製造業のデータ連携で今後、特に重要になる分野は、「カーボンニュートラル」「生産計画の精緻化」「トレーサビリティ」などが挙げられている。
中でも今後、取り組みが加速すると見込まれるのが、カーボンニュートラル実現のためのサプライチェーンをまたがるデータ連携だ。
その主な理由の一つは、欧州などで進んでいるCO2排出量などに関する情報開示の義務化への動きがある。
GHG(温室効果ガス)プロトコルのスコープ3基準に対応するには、自社製品の生産におけるCO2排出量を算定し、そのデータをサプライチェーンの他の企業と共有する必要がある。
企業間のデータ連携は、企業内のデータ連携に比べて実現の難易度が高いが、規制強化をトリガーに、多くの企業が参加するデータ連携プラットフォームの構築が進むと考えられている。
先進事例の一つとして、ドイツの自動車業界によるデータ連携基盤「Catena-X」があり、欧州が推進するデータ連携基盤GAIA-Xに準拠している。
日本以外の国や地域でこのような動きがあった場合、当該国や地域の企業と取引する国内企業にも対応が求められる可能性が高くなる。
IDCは、国内企業がこれに適切に対応するには、国内でもデータ連携プラットフォームを構築する必要があるとしている。
IDC Japan株式会社 Infrastructure & Devices リサーチマネージャーの小野陽子氏は、「国内では、欧州などに比べて、国レベルでのデータ連携基盤への取り組みが遅れている。日本政府および国内主要製造業は、カーボンニュートラル実現などに向けたデータ連携基盤の構築を急ぐべきである。また、各国や地域での規制強化の動きは、今後、コンサルティング、システム構築、ビジネスプロセスのアウトソーシングなど、ITサプライヤーに多くのビジネス機会をもたらす。OT(Operational Technology)分野の強化を狙うITサプライヤーは、このようなビジネス機会の獲得に注力すべきである」と述べている。
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