IDC、顧客エクスペリエンスの満足度に関する調査で「満足している」と回答した人は25.6%と発表

企業:

IDC Japan株式会社は、顧客エクスペリエンス(以下、CX)に関する国内消費者/ビジネスバイヤーの意識調査の結果を発表した。

同調査は、2022年12月に国内に居住する20代~80代の男女1,500名を対象にCXに関する消費者意識調査を、従業員10人以上の企業/団体に属するビジネスバイヤー530名を対象にCXに関するジネスバイヤーの意識調査を実施している。

CXに関する消費者調査では、以下が明らかとなった。

CXに関する全般的な評価においては、現在/将来の購入決定におけるCXの重要度では「重要である」が34.9%/35.9%と「重要でない」の17.2%/15.5%を共に上回った。ただし最も回答が多かったのは、「どちらでもない」の中立回答だった。また、現状のCXの満足度に関する調査では、「満足している」が25.6%に留まった。

企業が提供するCXへの改善要望としては、「品質/サービスの向上」「コストパフォーマンスへの納得性」などと、対価に見合う内容や納得性に関する項目が上位となった他、次点では「情報のわかりやすさ」「サポート対応の正確さ」など購買時に重視される価格と製品/サービスの品質の背景にある納得性を補完する項目が上位となった。

CXへの改善要望を年代別でみると、50代と40代を境に「製品品質/サービスの向上」と「コストパフォーマンスへの納得性」および「サポート対応」と「購入の簡易さ」への選好において逆転がみられるなど、年代によって改善要望項目が異なる結果となった。このことは、自社製品/サービスの現状の購買中心層や、今後の変化によって製品/サービスの提供価値や訴求点を変容させていく必要が生じることを示唆している。

また、CXに関するビジネスバイヤーの意識調査では、以下が明らかとなった。

企業の購買担当者における取引先企業のCXに対する満足度において、「取引先企業のCXに満足している」の回答割合は27.0%となった。この割合は、「満足していない」の14.3%を上回るものの、「どちらともいえない」の回答率58.7%を下回る。このことから、企業購買に関するカスタマージャーニーの各地点におけるCXで個別の改善要望が潜在的に存在する状況にあると推察される。

企業購買に関わる改善要望項目に関する調査では「価格の妥当性」「サポート対応」「製品品質/サービス内容」が上位となった。また、企業への取り組み要望項目では、「顧客の声を反映した製品/サービスの向上」「セキュリティ向上」「顧客の状況を把握したきめ細かな対応」となった。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染拡大の継続、ロシア・ウクライナ戦争の開始によるサプライチェーンの混乱をはじめ複数要素に起因する物価上昇など、過去2~3年間で生じたマクロ環境の変化は、顧客を大きく変容させた。

従来のように明確な顧客要求に合わせて、低価格で高品質な製品を提供するだけでは市場の勝者にはなり得ず、変動する顧客の需要を企業自ら探索/理解し、顧客の評価に基づき製品/サービスの改善を行いながら市場に評価を問い続ける必要性が生じている。日本企業が得意とするカイゼン活動の方向性を企業の内部指標だけでなく、顧客評価に紐づいたKPIの改善に設定することで、企業内の様々な取り組みを収益に結びつけていくことが重要となる。

IDCではこのような顧客フィードバックループに基づいた企業の体制をFuture of Customer Experience企業と定義し、当該体制に重要な顧客接点のデジタル化/顧客データの活用/CX関連オペレーションの連携/従業員エクスペリエンスに関する取り組みなど社内文化の観点から国内企業におけるCXの取り組みを調査している。

IDC Japan Software & Services シニアマーケットアナリストの太田早紀氏は今回の消費者/ビジネスバイヤーにおけるCX意識調査を受けて「今回のCXに関する調査では、価格/品質と比較した際に購買プロセス全体に関わるCXは、相対的に認識されにくいことが分かった。一方で、消費者/ビジネスバイヤーにおいて現状のCXに関して満足している割合は、共に20%台に留まっており、企業が提供するCXと顧客が望むCXの間にはギャップが存在すると考えられる」と述べている。

続けて「企業に対するCXの改善要望では、多くの項目が挙げられているが、これは、提示された価格/品質以外に消費者/ビジネスバイヤーにとって製品/サービス同士を差別化しうる項目が少なく、顧客が自らの購買選択における妥当性(納得性)を得にくい現状を示していると考えられる」と述べた。

そして「このような状況下、いち早く顧客が望むCXの提供に成功する企業は、他社との差別化によって競争力や非財務資産の獲得が可能になると考えられる。CX先進企業の取り組みによって、ひとたび顧客がCXを認知し出すと、CXの良し悪しが顧客の支持獲得に急速に影響力をもたらすため、Future of Customer Experience企業へのトランスフォーメーションへの準備段階として、デジタル顧客接点の構築による顧客データ取得/CDPなど顧客理解に関するIT基盤の整備は、国内企業にとって急務である」と分析した。

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