エブリセンスジャパン株式会社(以下、エブリセンス)は、データ保有者とデータの活用を希望する者を仲介し、売買等によるデータの取引を公平公正に支援する仕組みとして「データ取引市場EverySense Pro」を運営している。
データ取引市場とは、我が国が掲げるSociety 5.0やデータ駆動型社会の実現に寄与する社会インフラとして位置付けられ、一般社団法人データ社会推進協議会により、IEEE P3800として国際標準化に向けた検討が行われているものである。
しかし、データ駆動型社会においてデータ流通を阻害する要因のひとつとして、無体物であるデータは一般的に日本の民法上の権利(所有権、財産権等)保護の対象外となることが挙げられる。
このほどエブリセンスは、内閣府総合科学技術・イノベーション会議の「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期/ビッグデータ・AIを活用したサイバー空間基盤技術」の「分野間データ連携基盤技術の社会実装に向けた外部仕様書の作成・公開および相互接続性実証」事業にて、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)より日本電気株式会社とともに採択を受け、エブリセンスが担当する実証テーマ「(エ)データ取引で利用されるデータ基盤技術との相互接続性実証」において、分野を超えた信頼のあるデータ取引を支援し社会におけるデータの流動性を高める仕組みとして「データ利用権取引市場システム」を開発し、実証実験を行った。
データ利用権取引市場システムは、データ保有者が第三者にデータを提供し、データを提供された者が新たな経済活動に向けてそのデータを利用し財を得るという一連の営みにおいて、「データを利用する権利」を権利証書化し取引の対象とするとともに、信頼できる第三者機関(以下、TTP)によりその権利が保証されるものである。データ利用に関わる権利の条件を標準化した「データ利用権証」と対象データを組み合わせて取引される。
また、TTPがデータを利用する権利の保証と、取引の関与者それぞれの真正性、データの完全性を保証することにより、安心・安全かつ効率的なデータ取引を支援する。加えて、データ利用権証を取引の対象とすることで、データ提供者はデータ収集前に売買を成立させることができ事業資金の調達ができることも期待される。
同実証では、データブローカーとしてコンサルティングファームを始めとする民間企業の協力のもと、具体的な業態、業務、データの提供・活用を想定してデータ利用権取引市場システムの機能を操作し、利用権証の生成、売買、利用権の行使が可能であることを確認した。
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