IDC Japan 株式会社は、国内企業500社を対象に実施した「2022年 企業ネットワークサービス利用動向調査」におけるWAN(広域通信網)に関する調査結果を発表した。
この調査では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のWAN利用への影響、WAN種別ごとの利用状況の差異、インターネットやデータセンターおよびクラウドの利用状況、SD-WAN(Software-Defined Wide Area Network)の利用状況などについて調査している。
調査の結果、WANの利用企業は、WANのオプション機能について、インターネット境界のファイアウォール機能や、リモートアクセス機能を有用であると考えていることが分かった。
WANのオプション機能について、最も有用であると思われる項目についてみると、「インターネット境界のファイアウォール機能」の回答割合が最も高く20%を超えており、「リモートアクセス機能」が15%程度で続いている。
在宅勤務の広がりに伴い、WANのユーザ企業は、オプション機能にも在宅勤務環境の構築に役立つ機能を求めているのだという。
また、多くの企業で、将来的にネットワーク設計におけるクラウドの比重を高めていくことが分かった。
企業ネットワークのインターネットの接続経路として、現状では「自社データセンターに設置したゲートウェイ経由」である企業の割合が最も高く4割を超えているものの、この割合は3年後の想定では3割以下となっている。
一方で、「クラウド事業者が提供するゲートウェイ経由」とする企業の割合は、3年後の想定で35%を超えており、他の接続形態と比べ最も高くなっている。
さらに、企業がSD-WANを選定する際、管理機能の使いやすさや、クラウド事業者などのSD-WAN連携機能のサポートを重視していることが分かった。
最も重視しているSD-WANの選定基準をみると、「管理機能(コントロールパネル)の使いやすさ」の回答割合が最も高く、続いて「クラウド事業者やデータセンター事業者が提供するSD-WAN連携機能をサポートしていること」が2番目に高くなっている。
IDC Japan株式会社 Infrastructure & Devicesの リサーチマネージャーである山下頼行氏は、「在宅勤務の拡大などの働き方の変化や、企業システムのクラウドシフトに伴い、企業はWANサービスやSD-WANに、在宅勤務用のシステムとの親和性やクラウドサービスとの連携のしやすさを求めている。こうしたWAN設計における潮流を捉え、通信事業者やシステムインテグレーターは、WANのインターネットゲートウェイやリモートアクセス機能の強化、SD-WANのクラウド連携機能の訴求に重点を置くべきである」と述べている。
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