IDC、COVID-19やロシア・ウクライナ戦争の影響を考慮した2023年の国内IT市場は前年比6.0%増の21兆7,381億円と予測

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IDC Japan株式会社は、2023年3月末時点の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)およびロシア・ウクライナ戦争による影響を考慮した国内IT市場予測を発表した。これによると国内のIT市場は、前回(2022年12月)発行レポート「国内 IT 市場 産業分野別/従業員規模別/年商規模別予測アップデート、2022年~2026年」から、2022年は2.4ポイント向上し前年比7.0%増の20兆5,042億円の実績、2023年は0.3ポイント向上し前年比6.0%増の21兆7,381億円と予測している。

2023年の国内経済活動は、サプライチェーンの制約緩和や国内でのサービス消費やインバウンド需要の回復によって、COVID-19の感染拡大前の水準に回復すると予測する。ただし、円安による輸入原材料価格の上昇や、世界経済の減速懸念、地政学的な不確実性の高まりなどによって、企業収益状況は厳しく、雇用の改善は緩やかで、家計の所得と消費は低迷し、企業も設備投資に慎重な姿勢を示すことが考えられる。

一方、IT市場については、クラウドやサブスクリプションモデルの浸透や通信サービス事業者投資の拡大などによって、IT支出に対するマクロ経済へのマイナスの影響は過去の経済危機と比較して引き続き軽微に留まると考えている。リモートワーク、リモート学習へのシフトへの対応、サプライチェーンやサイバーセキュリティの強化など、IT分野の優先度が高く、積極的な支出が継続する見通しとしている。

製品別では、通信インフラの増強、セキュリティツール需要、オンプレミス環境で運用してきた従来のITインフラの刷新を含むクラウド環境への移行、業務効率化、サブスクリプションビジネスの広がりに伴うソフトウェアおよびサービスが2022年から継続して成長するとみている。

産業分野別では、通信インフラ拡充、および5G投資、各種ITソリューションの基盤となるテクノロジーを提供する情報サービスが、2023年のIT市場成長を牽引するとみている。COVID-19感染拡大の影響の沈静化が、国内の観光、飲食、流通、運輸などに関連する産業分野の企業での業績回復につながり、すべての産業分野でIT投資はプラス成長になる見込みとのこと。

従業員規模別では、2023年には、中堅中小企業は円安や資源価格高騰によって業績に悪影響が出るが、インボイス制度対応や電子帳簿保存法対応によるIT支出が見込まれ、IT支出は比較的高い成長率を見込んでいる。一方、大企業はDXの取り組みを加速し、既存ビジネスの見直しや新規ビジネス展開を目的としたIT支出を拡大している。

年商規模別では、2023年のIT支出は、業務効率化や非対面チャネルの強化、既存システムのクラウドシフトを目的に年商規模を問わず拡大すると予測している。年商規模100億円以上の企業では、DXによる企業変革も本格化しているが、100億円未満の企業は業績回復の遅れにより、IT支出の抑制傾向は続く見込みだ。ただし、インボイス制度対応や電子帳簿保存法対応により、IT支出はプラス成長が見込まれる。

上記の予測は、2023年に国内経済成長率が1.2%のプラス成長となることを前提に作成している。2022年~2027年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は4.0%、2027年の国内IT市場規模は24兆9,561億円と予測しているが、今後の金融政策変更に伴う金利上昇や、地政学的な不確実性の高まり、世界的なインフレ率の上昇による大幅な景気後退、さらなる急激な為替変動など、社会環境の急激な変化によっては、今後の予測を大きく見直す可能性があるとした。

日本国内の企業は、セキュリティ対策を強化しながら、IT投資を拡大し、事業拡大や新規ビジネス創出に向けて取り組んでいる。今後数年に渡り、世界中の企業を襲う可能性のある経済、政治、社会の破壊的変化の波によって、ビジネス計画は翻弄されるかもしれないが、国内の企業はデジタル技術を活用したレジリエンシー強化に意欲的だという。

特に、エコシステム/バリューチェーンの急激な変化に対応するため、企業全体でのデータの共有、使用、管理、価値の向上を支援することが重要であると認識することが求められる。このような姿勢を通じて、企業が変革に対応し、競争力を維持できるとIDCは考えている。

IDC Japan株式会社 Verticals & Cross Technologiesのシニアマーケットアナリストである阿部勢氏は、ITサプライヤーに対して「ユーザー企業がデータを活用するためには、適切なインフラやツール、データ分析などのサービスが必要であり、産業を横断した共創プラットフォームの構築によって、領域横断的なデータの利活用の可能性を広げることが重要である」と述べている。

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