IDC Japan株式会社は、国内IoT市場予測を発表した。これによると、国内IoT市場におけるユーザー支出額について、2022年の実績は5兆8,177億円であり、その後、2022年~2027年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)8.5%で成長し、2027年には8兆7,461億円に達するとIDCでは予測している。
国内IoT市場における支出額を、技術グループとしてハードウェア、コネクティビティ(通信サービスなど)、ソフトウェア、サービス(導入、運用サービスなど)に分類すると、2027年までの5年間のCAGRはそれぞれ5.9%、4.6%、11.8%、10.9%であり、ソフトウェアのCAGRが最も高いと予測している。
ソフトウェアを産業分野別に見ると、製造/資源セクターにおいて、既存のオンプレミスで運用していたIoTの利用環境のクラウド移行や、新規にIoTクラウドプラットフォームを導入するケースが増加している。また、流通/サービスセクターのIoTシステム上で、在庫管理の最適化や顧客購買行動分析を目的としたアナリティクスソフトウェアへの支出が加速するとIDCではみている。
産業分野別にIoT市場を見ると、支出額が多い分野は、組立製造、官公庁、プロセス製造であることが分かった。このうち、組立製造、プロセス製造の分野では、ITベンダーが中心となりIoT用途のソフトウェア群を共通基盤化し、製造業を対象とした産業特化型のIoTプラットフォームやソリューションを提供する事例が増加している。
加えて、OPC UA(Object linking and embedding for Process Control Unified Architecture)、やCIOF(Connected Industries Open Framework)といった標準規格や連携基盤の普及によって、産業IoTの分野で課題となっているメーカー固有機器/システム間のデータ連携の困難さが緩和するとみている。
それらの活用によって、製造業向けIoTソリューションの選択肢が多様化し、製造業ユーザーが工場内の業務効率化やコストの削減を容易に実現する環境が整い、組立製造、プロセス製造でのユーザー支出額は今後も大きく成長するとIDCでは予測している。
IDC Japan Infrastructure & Devicesのリサーチマネージャーである山下 頼行氏は「IoTクラウドプラットフォームの普及や、IoTの標準規格、連携基盤の発展により、IoTデータ収集に関するシステム構築の難易度が下がり、そうしたシステムの構築サービスの付加価値を高く保ち続けることは必ずしも容易ではない」と述べている。
続けて「SIer(Systems Integrator)や通信事業者は、ユーザー企業向けIoTシステムの提供に当たり、システム構築のみならず、データ収集基盤の運用、データ分析とそれに基づく経営改善のための助言を、継続的なサービスとして提供することも一つの方策である」と述べた。
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