IDC Japan株式会社は、国内ITインフラ市場予測を発表した。これによると、国内ITインフラ市場の2022年~2027年における支出額の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)を8.4%、2027年の同市場の売上額を7兆6,643億円と予測している。
なお、国内ITインフラ市場には、国内エンタープライズインフラ(サーバーおよびエンタープライズストレージシステム)市場、国内データセンター向けイーサネットスイッチ市場、国内システムインフラストラクチャソフトウェア(SIS)市場、国内ITインフラストラクチャサービス市場、国内パブリッククラウド接続用途WANサービス市場、国内パブリッククラウドサービス(IaaS)市場を含む。
クラウドマイグレーションの進展やデジタルビジネスへの取り組み拡大に伴って、パブリッククラウドサービス(IaaS)の利用が拡大しており、国内ITインフラ市場では最も急速に成長するセグメントになる。2027年の国内ITインフラ市場におけるIaaSの売上額構成比は36.8%と最も高いセグメントになる予測としている。IaaSの急成長によって、国内ITインフラ市場の市場構造の転換が加速している。
ITインフラストラクチャサービスでは、サービスプロバイダー(SP)向けのコロケーションやエンタープライズ向けのクラウド導入コンサルティング/構築の需要が拡大する見込みである。また、ITインフラのハイブリッド化による運用複雑化の課題が顕在化していることから、SP以外のエンタープライズ向け市場における運用サービス(マネージドサービス)に対する需要も高まるとIDCはみている。
システムインフラストラクチャソフトウェア(SIS)では、セキュリティソフトウェアに加えて、パブリッククサービスの環境を運用、管理するためのシステム/サービス管理ソフトウェアの需要も拡大しており、FinOpsやAIOpsなどの新しい機能に対する注目度も高まっている。なお、SISでは、初期費用の抑制、継続的な機能強化/アップデートの提供、ライセンスの可搬性などのメリットから、ライセンスの販売からSaaSやサブスクリプションなどの「リカーリング」モデルへと急速に変化している。
一方で、エンタープライズインフラ(サーバーおよびエンタープライズストレージシステム)やデータセンター向けイーサネットスイッチといったインフラストラクチャハードウェアでは、エンタープライズによる投資が緩やかに減少し、ハイパースケーラー、クラウドサービスプロバイダー、デジタルサービスプロバイダー、通信事業者、マネージドサービスプロバイダーなどのSPによる投資が増加する予測である。
IDC Japan Infrastructure & Devicesのリサーチマネージャーである宝出 幸久氏は「デジタルファースト時代においてビジネス価値を創出するために、多種多様なITインフラの使い分けが進んでいる。今後、AIがあらゆるビジネスプロセスに組み込まれる「AI Everywhere(どこでもAI)」化が急速に進むとIDCはみている。Generative AIに代表されるAIテクノロジーの活用の進展は、ITインフラに対する新たな需要を大規模に創出すると共に、ITインフラの分散化をさらに加速する」と述べた。
続けて「ITサプライヤーには市場構造の転換に対応して事業戦略を再構築すると共に、統合管理の実現や、ITインフラコストの継続的な最適化を実現するFinOpsの実践の支援などを通じて、顧客のデジタルビジネスの継続的な発展を支援すべきである」と分析している。
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