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IDC、2027年末までの国内キャリアMECサービス市場は年間平均成長率69.6%で急成長するが本格化するのは同年以降と予測

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IDC Japan株式会社は、国内キャリアMEC(Multi-Access Edge Computing)サービス市場予測を発表した。これによると、IDCでは2027年のキャリアMECサービス市場の市場規模を138億円、2022年~2027年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)を69.6%と予測している。

MECとは、デバイスの近傍にサーバーやストレージなどのインフラストラクチャを分散配置することによって、データ処理のレスポンスを早め、通信の最適化や高速化が可能になる技術を指す。今回の市場予測は、その中で通信事業者のモバイル通信網と直結した形で提供される、法人向けおよび個人向けMECサービスにおける、インフラストラクチャ(IaaS)およびアプリケーション実行用のプラットフォーム(PaaS)相当分を対象としている。

現在、国内では、NTTドコモによる「docomo MEC」、AWSとKDDIによる「AWS Wavelength」、ソフトバンクの「5G MEC」などのキャリアMECサービスが提供されている。主なユースケースとして、スマートファクトリー、機械やロボットの遠隔操作、高精細映像伝送、AR/VRによる仮想空間表現や空間シミュレーション、自動運転、ゲームやメタバースなどが挙げられる。

キャリアMECサービスは今後、高度なDXの推進、デジタルツインの構築、自動運転などに不可欠な技術になると、IDCではみている。同サービスの活用によって、膨大なデータをその生成場所に近いところで処理したり、低遅延でフィードバックを返したりといったことが可能になる。ただし、現時点では同市場はまだ揺籃期であり、今後5年間(同調査での予測期間、2023年~2027年)で急速に成長するものの、活用が本格化するのは同調査での予測期間より後になるとIDCでは予測している。

今後のキャリアMEC市場の見通しを考える上で、重要なポイントは3つあるとIDCは提言した。一つは、キャリアMECサービス、5G SAネットワーク、そしてキャリアMECのアプリケーションについての、技術面でのさらなる高度化と十分な実用性の提供である。

また、投資対効果の不確実性も大きな課題だという。キャリアMECを多拠点に展開するには多額のコストがかかる一方で、キャリアMECで処理するデータがどれだけの価値を創出できるかの予測は困難である。3点目は、クラウドや他のエッジコンピューティングとの競合とシームレス連携による相乗効果である。

IDC Japan Infrastructure & Devices リサーチマネージャーの小野 陽子氏は「キャリアMEC市場の発展の在り方として、基本的には市場競争と各企業の設備投資に任せるとしても、市場原理にのみ従っていては、データ活用によるマネタイズとキャリアMECへの設備投資の好循環が生まれにくい可能性がある」と述べた。

続けて「この課題は、通信事業者が単独で考えるのではなく、長期的ビジョンに基づき、通信業界、行政、産業界など部門横断で議論し、必要に応じて制度整備などを進める必要がある」と述べている。

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