IDC Japan株式会社は、最新の国内ソフトウェア市場の実績と予測を発表した。
IDCでは、ソフトウェア(パブリッククラウドサービスを含む)市場を3の大分類市場、20の中分類市場、および78の機能市場に分類し、国内市場を含むグローバルなベンダー売上額および市場予測を「IDC Worldwide Semiannual Software Tracker 」として提供している。
2023年11月に発行した同レポートでは、ソフトウェア市場のグローバル売上額は2023年上半期(2023年1月~6月)に前年同期比11.1%増の4,525億米ドルとなった。一方、国内ソフトウェア市場は前年同期比9.5%増の2兆2,419億2,000万円になったと推定している。
2023年上半期の国内ソフトウェア市場は、生成AIブームによる企業でのAI活用への関心の上昇、ソフトウェアモダナイゼーションの要求、セキュリティインシデントの増加などによって、国内企業のソフトウェア投資を押し上げ、堅調に成長したとIDCではみている。この中でも、データ活用を通じた業務の効率化/自動化、人的資本投資や環境投資などの非財務側面の強化による企業価値の拡大、サイバーセキュリティ/ガバナンス対策のためのソフトウェア投資が2023年上半期に注目された。
また、ソフトウェア市場の中でパブリッククラウドサービス売上は2023年上半期では前年同期比22.4%増の8,456億円4,600万円と高い成長を維持し、全ソフトウェア市場の37.3%を占める規模となった。
2023年上半期のソフトウェア大分類市場のトレンドは以下のように推移した。
アプリケーション開発/デプロイメント市場では、前年同期比13.4%増、5,784億8,000万円、特にデータドリブン経営推進や業務効率化のためのAIプラットフォーム市場(前年同期比53.8%増)、アナリティクス/BI市場(同18.8%増)が高成長を維持した。
アプリケーション市場では、前年同期比8.2%増、9,394億9,200万円、デジタルCX向上に向けたCRM市場(同14.2%増)およびコンテンツワークフロー管理市場(同12.1%増)が高成長を継続した。
システムインフラストラクチャソフトウェア市場では、前年同期比8.3%増、7,239億4,700万円、特にサイバーセキュリティ対策/デジタルトラスト向上に向けたセキュリティソフトウェア市場(同16.9%)およびITシステム管理市場(同6.0%)が高成長となった。
IDCでは企業での生成AIを含む業務へのAI適用やデジタルCX、企業トラストの拡大に向けたソフトウェア投資が2024年以降も継続し、国内ソフトウェア市場は2022年~2027年の年間平均成長率(CAGR :Compound Annual Growth Rate)は8.0%で成長し、2027年に6兆2,346億円に達すると予測している。各ソフトウェア大分類市場の2022年~2027年のCAGRは、アプリケーション開発/デプロイメント市場は14.5%、アプリケーション市場は5.3%、システムインフラストラクチャソフトウェア市場は5.5%になるとIDCではみている。
IDC Japan Software/Service Solutions グループディレクターである眞鍋 敬氏は「国内および諸外国の経済状況、為替変動や戦争/政変など国内ソフトウェア市場に与える阻害要因がある。しかし2022年末から市場を活性化させている生成AIを含むAIブームは、デジタルファースト時代に突入する国内IT市場でのソフトウェア投資にとって阻害要因を上回る促進要因になると予測する」と述べた。
続けて「この影響はAIに関連するデータ管理プラットフォームやコンテンツ管理/セキュリティ、AI組み込み型アプリケーションなどの市場に波及し、国内ソフトウェア市場をさらに活性化する要因となるだろう。ITユーザー企業は自社ワークフローにAIを組み込むためのユースケースとアーキテクチャを積極的に検討/開拓し、デジタル競争力の強化を行っていくべきである」と述べている。
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