IDC Japan株式会社は、2023年の国内パブリッククラウドサービス市場の予測を発表した。
それによれば、市場規模は前年比27.5%増の3兆2,609億円(売上額ベース)に達したという。IDCは、2023年から2028年までの年間平均成長率は17.2%で、2028年には市場規模が2023年比で2.2倍の7兆2,227億円になると予測している。
2023年の市場成長は、製品やサービスの単価上昇(為替変動による値上げ含む)とクラウドマイグレーションの拡大によるもので、2022年(前年比成長率38.0%)と比較して成長率は大幅に低下したものの、順調に推移した。特に、クラウドマイグレーションの対象となるシステム領域やワークロードが、Webシステムや情報系システムから基幹系システムまで多様化したことが市場の成長を牽引した。
2024年も、クラウドマイグレーションが市場の成長を支えると予想される。また、製品やサービスの単価上昇傾向は続き、DXやデータ駆動型ビジネスに関する案件も増えている。
昨今高い関心を集めている生成AIは、今後の市場成長の大きな要因となると注目されている。すでに一部のユーザ企業では、主に生産性向上に関するユースケースで生成AIの本格導入を開始している。
そのユースケースには、「翻訳」「ドキュメントの要約、キーワードの抽出」「コンテンツ作成支援」「プログラミング支援」などが含まれ、AIサービスはSaaSあるいはPaaSとして提供されることが一般的だ。
なお、テクノロジーサプライヤーが独自の大規模言語モデルの開発を行う場合、IaaSあるいはプライベートクラウド環境の利用が中心になるとの見解も示されている。
今後、生成AIのユースケースは「ビジネス機能ユースケース」「産業特化ユースケース」へと拡大し、それらは2025年以降に顕在化し、国内パブリッククラウドサービス市場の成長を促進すると予測されている。
IDC JapanのSoftware & Services部門のリサーチディレクターである松本聡氏は、「生成AIの発展はエコシステムの再編を促し、ユーザ企業がベンダーに求める内容も変化する。今後、ユーザ企業は生成AIの評価において機能性だけでなく経済合理性も重視するようになるだろう。ベンダーは経済合理性を意識したアプローチを強化すべきだ」と述べている。
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