IDC Japan株式会社は、国内のSD-WAN(Software-Defined Wide Area Network)市場の予測を発表した。
その発表によれば、2023年の国内SD-WAN市場は前年から20.6%増加し、市場規模(支出額ベース)は147億9,000万円となった。
さらに、2023年~2028年の年間平均成長率は11.2%で推移し、2028年の市場規模は2023年比で約1.7倍の251億1,500万円になると予想されている。
なお、SD-WAN市場には、SD-WAN関連のハードウェアおよびソフトウェアからなるインフラストラクチャ、マネージドサービス、プロフェッショナルサービスが含まれる。
2023年の国内SD-WAN市場においては、WANトラフィックの増加に対応するため、企業がSD-WANを導入し、ローカルブレイクアウトをポイントソリューションとして利用する動きが続いている。
特に大企業では、クラウドマイグレーションの促進やセキュリティ態勢の強化、運用の効率化を目的とし、SD-WANの活用が進んでいる。
このような企業は、SD-WANのポテンシャルを最大限に活用し、ITインフラを高度化し、デジタル戦略の実行や競争優位性の確立を推進しているのだという。
また、ハイブリッドワークの定着を目指す企業では、SD-WANとクラウド型セキュリティを組み合わせたSASE(Secure Access Service Edge)のフレームワークに基づくWANの見直しも進行中だ。
2024年以降の国内SD-WAN市場は、クラウドマイグレーションやDXの推進に伴い、トラフィックの増加や、デバイスやサーバ、クラウドといったネットワークエンティティ間の接続の非効率性、運用負担の増加に対処するためのWANの見直しが、市場の成長を牽引すると予測されている。
また、中堅中小企業では、社内に十分なIT人材リソースを持たない場合が多く、セキュリティ対策の強化への負担が高まっているため、ネットワークの設定変更だけでなく、セキュリティの運用も提供範囲とするマネージドサービスの選択が強まると見られている。
IDC Japanのシニアリサーチアナリストである水上貴博氏は、「大企業からSMBまで幅広い企業がSD-WANを採用する契機としてローカルブレイクアウトを利用している。先進的な企業はSD-WANを用いたデジタルファースト時代のネットワークの構築を着実に進めている。
テクノロジーベンダー、インテグレーター、通信事業者は、SD-WANの新規採用を検討する企業や、ローカルブレイクアウトを契機としてSD-WANを採用した企業に対して、先進的な企業の成功事例とそこに至る道筋を示すことが、今後のビジネスの拡大に重要だ」と述べている。
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