IDC Japan株式会社は、国内ITインフラストラクチャサービス市場の予測を発表した。
ITインフラストラクチャサービスとは、企業などが利用するサーバ、ストレージ、ネットワークなどのITインフラストラクチャに関するコンサルティング、設計、構築、運用、保守サービスのことだ。
今回の発表によると、同市場は2023年に2兆699億円であったが、2028年には2兆4,619億円となると見込んでおり、2023年から2028年の年間平均成長率は3.5%と予測している。
なお、IDCは、この分野にはエンタープライズとサービスプロバイダーという2種類の顧客が存在し、それぞれサービス利用の特徴が大きく異なるとしている。
エンタープライズは、官公庁、金融、製造、流通などの産業分野で、ユーザ組織が個別にITインフラストラクチャ製品を導入するよりも、クラウドサービス上で提供されるインフラ機能を利用することが増えている。これは、クラウドサービスを利用することでインフラコストを抑制できるからだ。
一方、サービスプロバイダーは、コンテンツ配信、ソーシャルメディア、ゲーム、各種オンラインサービス、インターネットサービスなどで、ユーザ数の拡大に対応するためにITインフラの規模を増やしている。そのため、インフラ支出は増加傾向にあるのだという。
エンタープライズ向け市場とサービスプロバイダー向け市場に分けて見ると、エンタープライズ向け市場の年間平均成長率(2023年〜2028年)は1.4%であるのに対し、サービスプロバイダー向け市場では11.3%で拡大するとIDCは予測している。
さらに、生成AIの利用に対する関心が高まり、AIサーバの導入が進んでいる。AIサーバは一般的なサーバよりも消費電力や発熱量が大きく、高速なサーバ間通信を必要とするなどのAI特有のインフラ設計が必要だ。
こうした中、IDC Japan株式会社のSoftware&Servicesリサーチマネージャーである伊藤未明氏は、「現時点でAIサーバ導入がITインフラストラクチャサービス市場の成長率を大きく押し上げる可能性は低いが、今後AIサーバやクラウドサービスといった異なる複数のITインフラが混在するようになると、運用の複雑性が課題となる」と分析している。
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