IDC Japanは、国内デジタルツイン関連市場の予測を発表した。
デジタルツイン関連市場とは、現実空間の事象やプロセス、物体や人の形状、状態変化、動きに関するデータを、複数のデータソースからデータ基盤に集約し、サイバー空間上での可視化、分析、制御、最適化、予測およびサービスの提供などを行う市場のことを指す。
デジタルツインのユースケースは多岐にわたるが、主流はCAD、CAE、PLM、IoTなどのデジタルツール活用の延長線上にある。デジタルツイン関連市場の大部分は、これらの既存市場と重複する市場だ。
近年のデジタルツインへの関心の高まりは、コンピュータ上での設計開発のさらなる高度化や、設計開発プロセスで活用したデータをOT領域へ引き継ぎ、AIやロボットと組み合わせることで生産や社会インフラのためのシステム運用をより高度化しようという機運の高まりによるものだ。
また、サプライチェーンやスマートシティの構想、防災、GHG排出量、ヘルスケアにおける患者の身体や健康、物理空間と連携した仮想空間での諸活動(販売、エンターテイメントなど)など、新たな領域でのデジタルツインへの取り組みも始まっている。
IDCは今回、国内デジタルツイン関連市場全体の市場規模が、2023年の7,329億円から年間平均成長率16.4%で成長し、2028年には1兆5,674億円になると予測している。
主な成長要因としては、データやシミュレーションに基づく意思決定に対する需要の増加、現実空間で起きていることの把握や分析や制御に資するデジタル技術の高度化と成熟などを挙げている。
IDC JapanのSoftware & Servicesリサーチマネージャーである小野陽子氏は、「デジタルツインは高度化の途上だ。ベンダーは表現、シミュレーション、最適化といった手法の研究開発に投資すべき領域だ。IoTで取得した現実空間のデータによる機械学習やCAEで活用される物理シミュレーションなど、複数の手法をハイブリッドに組み合わせることで、より精緻な分析や予測が可能になるケースが多い」と述べている。
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