IDC Japan 株式会社は、2025年以降の国内における情報通信技術(以下、ICT)市場に関する10大予測を発表した。
なお、この予測は、IDCが2024年10月に発行した「IDC FutureScape: Worldwide IT Industry 2025 Predictions 」の各項目を、国内市場の状況に合わせて調整したものだ。
10個の予測は以下の通りだ。
- AI エコノミクス: AI が実験段階から実践、収益化のフェーズへと移行する中でのROI(投資対効果)の明確化
- AI 投資の見直し: AIの投資効果が得られない企業による、AI投資の削減の可能性
- 広範囲にわたるサイバーレジリエンシー: 規制とAIによって強化されたアプリケーションの可用性確保に向けたサイバーリカバリー、サイバーレジリエンシー
- クラウドモダナイゼーション: クラウド アーキテクチャモダナイゼーションを通じたROI の向上、コスト効率、運用効率、持続可能な IT 成果の向上
- Data as a Product: データを製品のようにすぐ利用できるように整備することを通じ、データサイロと非効率性の大幅な解消
- アプリの変容: AIエージェント活用による新たな自動化の可能性
- 推論デリバリー:「マルチ推論」運用戦略の重要性
- AIインフラの脱炭素化:データ分析を通じたエネルギー使用量の最適化と、AI導入戦略の策定
- 複合AIのための統合プラットフォーム: AI投資の成功のためのテクノロジー基盤とワークフロー整備
- 新しい業務の役割: AIによる自動化を通じた働き方変革、新たな業種、雇用ライフサイクル変化
今回の予測は、AIの活用促進が中心的なテーマとなった。今後18か月で世界の企業の多くがAIの実験的な段階から実践へと移行するとし、それに伴って「AIエージェントの活用」「AI投資の効果を最大化するためのデータ」「インフラストラクチャ」「クラウドのリノベーション」「レジリエンシーやサイバーリカバリーへの配慮」などが必要になるとしている。
IDCは、上記10項目が今後5年間にわたって国内企業において確実に起き、主流になるものもあるという考えを示した。
一方、レガシーシステムからの脱却を図れないでいる企業や、インフラやデータがサイロ化している企業、AIを含めたデジタルビジネスへのビジョン策定に着手できていない企業も存在し、そうした企業は、AI投資から確実なリターンを生むために、まずは先に挙げた数々の課題解決に努める必要が出てくるとIDCはみている。
IDCのグループバイスプレジデントおよびチーフリサーチアナリストである寄藤幸治氏は、「インフラ、データ、アプリケーションといったテクノジー要素に加え、組織文化や人材といった要素を強化することで、企業は広い意味でのプラットフォームを確立することができる。連携、コラボレーションと言った価値を組織内に広め、テクノロジーやワークフローをそれに沿って実装することが、AI投資から効果を得る王道である」と述べている。
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