攻殻機動隊 REALIZE PROJECT 事務局は、日本を代表する企業、大学の研究開発者、公共機関、そして制作委員会と産学が一体となり、「攻殻機動隊」に描かれている数々の近未来テクノロジーの実現可能性を追求するプロジェクトを展開している。
攻殻機動隊 REALIZE PROJECTは、2015年度、攻殻ハッカソン・攻殻コンテストを開催した。今回、攻殻ハッカソングランプリチームを輩出した、筑波大学 エンパワーメント情報学プログラムと株式会社コモンズとの間に、共同研究契約が締結、研究開発の拠点として同大エンパワースタジオ内に、「ラボ(研究所)」を開設した。
「テクノロジー×エンターテインメント」をコンセプトに、コモンズが持つ特殊造形・メカデザイン・映像制作技術などを融合し、デザインファースト最先端テクノロジーを活かした試作開発と、イベント・舞台、展示といった体験型エンタテインメント装置などの開発の二つの事業展開を支援するという。
攻殻機動隊 REALIZE PROJECTは、これまで情報セキュリティコンテストSECCONや「サイバーセキュリティ月間」とコラボレーションしてきた。今回、KDDI総合研究所が、情報通信研究機構(NICT)からの委託研究として、攻殻機動隊 REALIZE PROJECTと連携し、攻殻機動隊 S.A.C.シリーズ「タチコマ」をキャラクターに起用したWebによるサイバー攻撃対策プロジェクト「Warp Drive-Project※」を発表した。
PC、スマートフォン・タブレット、IoT製品などへのサイバー攻撃の脅威に対し、攻撃観測・回避を支援するエージェントソフトウェアの研究開発で、ユーザごとにカスタマイズしたセキュリティ対策を提示することや、並列化することによって成長するという。同研究では、2017年秋を目途にPC(Webブラウザ)向けに、実証実験のユーザ募集を開始予定。また、2020年を目途にスマートフォンやIoT機器へと拡大していき、サイバーセキュリティの向上するサービス・製品の実現を目指すとしている。
また、3月25日に開催された「Anime Japan 2017」のステージで、2016年4月~2017年2月までに「攻殻機動隊 REALIZE PROJECT」公式WEBならびにSNSで紹介してきた国内先端テクノロジーニュースの中から、最も攻殻機動隊らしいテクノロジーを選出する攻殻機動隊 REALIZE PROJECT「the AWARD 2016」を実施。 読者のリーチ数、インプレッション数、アクション数を事務局が集計、順位付け。
1〜10位のニュースの中から、プロジェクト顧問である専門家、攻殻機動隊製作委員会ならびに制作陣がそれぞれの視点により『電脳(人工知能)』『義体(ロボット)』の2部門において、「これぞ攻殻!」という研究・活動に対して、攻殻機動隊 REALIZE PROJECT「the AWARD 2016」グランプリおよび審査員特別賞が表彰された。
【『電脳(人工知能)』部門グランプリ】
団体名:富士重工業株式会社、日本アイ・ビー・エム株式会社
<受賞者>
樋渡 穣(富士重工業株式会社 スバル第一技術本部 車両研究実験第四部 部長)
宮坂 浩司(日本アイ・ビー・エム株式会社 グローバル・ビジネス・サービス事業本部
IoTソリューション アプリケーション・アーキテクト)
富⼠重⼯業と⽇本IBMは2016年4⽉25⽇、⾼度運転⽀援システム分野における実験映像データの解析システムの構築と、クラウドおよび⼈⼯知能技術に関する協業検討について合意したと発表。運転⽀援システム「アイサイト」で実証された安全性能と信頼性をさらに進化、今回の⽇本IBMとの協業は、新機能開発を加速させるためのものであった。
【『義体(ロボット)』部門グランプリ】
団体名:東京工業大学 鈴森・遠藤 研究室
<受賞者>
鈴森 康一(東京工業大学 工学院 教授)
車谷 駿一(東京工業大学 工学院 )
森田 隆介(東京工業大学 工学院 )
東京工業大学工学院の鈴森康一教授、岡山大学大学院自然科学研究科の脇元修一准教授らは、株式会社池田製紐所との協力により、これまでより細くしなやかな人工筋肉の開発に成功。(鈴森教授が前任の岡山大学に所属していた2011年よりマッキベン型人工筋肉の研究開発を開始していた。)この⼈⼯筋⾁を筋繊維として編み込むことで、軽く、柔らかく 着⼼地のよい介護福祉⽤サポートスーツやコルセット、新しいロボットや福祉機器の可能性を⽰した。
【審査員特別賞】
団体名:東京大学 医科学研究所臨床シークエンス研究チーム
<受賞者>
宮野 悟(東京大学 医科学研究所 ヒトゲノム解析センター 教授)
東條 有伸(東京大学 医科学研究所先端医療研究センター教授)
溝上 敏文(日本アイ・ビー・エム株式会社 ワトソン事業部ヘルスケア事業開発部 部長)
東京⼤学 医科学研究所が導⼊した、2600万件以上もの医学論⽂を学習した⼈⼯知能「Watson」が、専⾨医でも診断が難しい特殊な⽩⾎病を僅か10分ほどで⾒抜き、60代の⼥性患者の命が救われた。東京大学 医科学研究所 ヒトゲノム解析センター 宮野教授は、「『Watoson』はよく人工知能(artificial intelligence=AI)と紹介されますが、我々のチームは「人知の増強(Augmentic Intelligence=AI)」と考えるのが良いと感じています。将来『Watoson』が医師の人知を増強することで、近未来のガン医療が変わると確信しています。」と述べた。
※WarpDriveとは、「Web-based Attack Response with Practical and Deployable Research InitiatiVE」NICT委託研究『Web媒介型攻撃対策技術の実用化に向けた研究開発』のこと
【関連リンク】
・攻殻機動隊 REALIZE PROJECT 事務局
・KDDI総合研究所(KDDI Research)
・情報通信研究機構(NICT)
・富士重工(FHI)
・アイビーエム(IBM)
・東京工業大学(Tokyo Institute of Technology)
・池田製紐所
・東京大学(The University of Tokyo)
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