近年、小売業では少子高齢化・人口減少に伴う市場規模の減少や労働力不足に伴う人件費増加など様々な課題を抱えている。中でも実店舗では商品棚を最適な状況に維持するために、商品棚の状況を把握する「売場チェック」と商品を補充する「品出し」の作業が必要であり、従業員による売り場とバックヤードの行き来が多く業務負荷となっている。
日本電気株式会社(以下、NEC)は、スーパーマーケットやドラッグストアなどの小売業向けに、商品棚に着目して小売店舗のDXを支援するクラウドサービス「NEC棚定点観測サービス」の提供を開始した。また、同サービスは先行して株式会社東急ストアに採用され、2022年6月から本稼働開始を予定している。
同サービスは、NEC独自のAIを活用した画像認識技術によって、事前学習用に商品棚の画像を1枚登録するだけで、AIがリアルタイムに自動で商品棚の在庫量を可視化し、商品の補充や前出しが必要な棚の情報を従業員に提供する。
また、専用のモバイルアプリにより、店内カメラで撮影した画像から商品棚部分のみを抽出し、歪みを補正してスマートフォンで容易に確認することができる。そのほか、商品補充が必要な商品棚優先表示やアプリへの通知が可能だ。手書きメモ機能の活用により作業指示などの情報共有にも活用できる。
さらに、NEC独自技術で人物消去機能を基本機能として搭載している。人の映り込みを消去することで商品棚の状態を安定して確認でき、プライバシーに配慮したカメラ映像の管理が可能となる。
そして、同サービスはカメラ機材も含めた映像クラウドサービスとして提供する。IPカメラのため複雑な工事が必要なく容易に導入が可能だ。また、店舗内のカメラ映像をクラウド上に保存することで、本部や店舗外から状況把握・一元管理が可能なため、効率的な運営を実現する。
なお、同サービスの初期費用は、カメラ込みで74,800円(税別)、月額利用料が3,980円(カメラ単位での契約)となっている。
NECは今後、品出しを必要とする棚を知らせる「品出しアラート機能」などの機能強化を進めるとしており、同サービスの提供目標として2023年度末までに1,000契約を掲げている。
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