ソニー、 スマートフォンの各種センサとAIを活用した屋内行動分析プラットフォーム「NaviCX」の提供開始

ソニー株式会社は本日、屋内行動分析プラットフォーム「NaviCX(ナビックス)」の提供を開始することを発表した。

「NaviCX」は、移動方向や移動距離を推定する技術「PDR(Pedestrian Dead Reckoning = 歩行者自律航法)技術」をベースに、近距離無線通信のBluetooth Low Energy技術を用いた発信機であるビーコンや地磁気の情報を、独自の測位アルゴリズムで組み合わせることにより、人の位置や向きの情報を取得することができる。

ソニーの提供するSDK(Software Development Kit=ソフトウェア開発キット)を、事業者のスマートフォン用アプリケーションに組み込むことで、店舗や施設内にいるスマートフォン所持者の行動データを取得し、滞在時間や動線、経路などの詳細な分析結果を提供するほか、位置情報に基づいてプッシュ通知を送ることもできる。

ユースケースは、大型店舗内(ホームセンター、ドラッグストア、スーパーマーケットなど)や体験型施設内(水族館やイベント会場など)を含む、GPS等での測位が難しい屋内での活用が挙げられている。

大型店舗では、客のリアルタイムの行動データと商品検索機能などを組み合わせて、客の希望する商品の陳列棚までナビゲーションを行ったり、近くに並べられた商品のお薦め情報のプッシュ通知を送ったりするなどのサービス提供を行うことができる。

また、蓄積した行動データは、屋内の客の流れを分析したマーケティング施策の立案や、従業員の作業内容・時間を分析した業務効率化などに活用することができる。

体験型施設では、客のスマートフォンを用いて、行動データに基づく自動音声ガイドなどの展示・演出手法への応用などが可能だ。

ソニー、 スマートフォンの各種センサとAIを活用した屋内行動分析プラットフォーム「NaviCX」の提供開始
「NaviCX」のシステム概要のイメージ

なお、サービス提供開始を前に、ホームセンターチェーンを運営する株式会社カインズの一部店舗にて、「NaviCX」の実証実験を2022年3月より行っており、6月からは実証実験の幅を広げ、来店客も対象とする予定だ。

主な特長

導入時

現地で行う測位用マップの作成は、ソニーが無償で提供するスマートフォン用アプリケーションを使うことにより、ガイドに従って作業することで行うことができる。また、「NaviCX」はPDR技術にビーコンと地磁気を組み合わせて測位するため、ビーコンの設置数が少なく、導入コスト及びメンテナンス費用を抑えることができる。

独自の測位アルゴリズム

「NaviCX」は、スマートフォンのジャイロセンサや加速度センサを使い、AIにより、スマートフォンの微妙な揺れのパターンに合わせて歩行者の動きの特徴を抽出し、対象者の移動方向や移動距離を計測して現在地を推定する、独自のPDR技術で基礎的な測位を行う。

ソニー、 スマートフォンの各種センサとAIを活用した屋内行動分析プラットフォーム「NaviCX」の提供開始
「NaviCX」の測位方法を表した図

これにより、測位対象者の滞在時間、位置、動線や経路、対象者の向きの情報をリアルタイムに取得することが可能。また、対象となる屋内施設に設置したビーコンの情報で位置を補正した上で、地磁気の情報で測位精度と人の向きの補強を行う。これらを独自の測位アルゴリズムで制御することで、高精度な測位を実現している。

行動分析

事業者側の管理者には、SaaS形式で「分析・可視化ツール」を提供。ツールには、屋内行動データが蓄積されており、行動分析エンジンにより、対象者の位置や移動軌跡の表示、ヒートマップや各種グラフの作成を行うことができる。

取得できる分析データ例

  • 客:現在位置、店内/施設内滞在時間、立ち寄った場所と経路、サイネージ前など特定エリアでの滞留時間、アプリ立ち上げ人数
  • 従業員:上記のほか、現在および時間ごとの実施作業内容、各作業にあてた時間割合、品出し回数
  • 場所:場所ごとの滞在顧客数と従業員数、各通路の通行量、サイネージ前など特定エリアの立ち寄り人数、エリア相関

エリア連動型プッシュ通知

事前に設定した特定のエリアへ客が立ち寄った際に、事業者のスマートフォン用アプリケーションを通じて、客向けに位置情報に基づいたプッシュ通知をすることが可能。

配信エリアや通知内容は、事業者に提供された「マップ設定ツール」で設定できるため、店舗や施設などに出向くことなくプッシュ通知の配信場所を変えることができるほか、ビーコンを増設する必要なく、配信エリアを増やすこともできる。

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