日本総合研究所(日本総研)は1月24日、今村商事、サトー、西日本イシダ、まいづる百貨店と、商品の一つ一つで賞味・消費期限別に在庫管理しながら、ダイナミックプライシング(DP)で売り切りを図ることによるサプライチェーンの効率化と食品ロス削減効果を検証する実証実験を実施すると発表した。
実験は、まいづるキャロット浜玉店(佐賀県唐津市)で、1月24日~2月26日まで実施する。対象商品はパン25SKU。賞味・消費期限別の在庫管理と、その情報に基づくダイナミックプライシングを活用した販売で、サプライチェーンの効率化と食品ロスの削減を図り、効果を測定する。
商品には、入荷時に二次元バーコードが印字されたラベルを貼り付け、ラベルの発行データを、サトーのダイナミックプライシング専用ツール「サトー・ダイナミック・プライシング・ソリューション(SDPS)」に取り込むことで、賞味・消費期限別の在庫状況を可視化して管理する。
SDPSは、事前に設定した価格改定ルールに基づき、1日複数回、在庫状況を踏まえて自動で価格設定を行う。その際、同じ商品でも賞味・消費期限の差に合わせて、価格にも差を付ける。設定された価格は、電子棚札とPOSシステムに自動連携される。
消費者は、電子棚札に表示された賞味・消費期限別の金額を確認した上で、それぞれの賞味・消費期限を表すラベルが貼られた商品を選択し、その後、通常通りPOSレジで商品を購入できる。
検証テーマはは「小売店舗業務の効率化」「小売店舗における効果的・効率的な売り切り促進」「食品メーカーにおける製造見込み数の精度向上」の3つ。
「小売店舗業務の効率化」は、賞味・消費期限の迫った商品を、在庫状況も踏まえながら、事前設定した価格改定ルールに沿って、1日複数回、電子棚札上の価格表示を自動更新する方法で、棚札(値札)の差し換えや値引きラベルの貼り付け作業といった店舗業務の負担が、どの程度軽減されるかを検証する。
「小売店舗における効果的・効率的な売り切り促進」は、同一商品で、賞味・消費期限別に在庫を可視化した上で、それぞれ価格に差を付けたダイナミックプライシングを実施。販売期限が近づいていく商品に対し、人手を介さずに1日複数回の細かな値引きをすることによって、効果的な売り切りが可能になるかを確かめる。
「食品メーカーにおける製造見込み数の精度向上」では、特に賞味・消費期限が短い日配品で、食品メーカーが、納品期限を守るために見込み製造を慣習化していることを踏まえ、期限別の売れ行き情報を食品メーカーと連携を行い、見込み製造の精度向上を図り、食品ロスの削減がどの程度可能になるかを検証する。
日本総研が、実証実験の全体設計・推進・効果検証、今村商事は、実証実験のシステム設計支援と運用設計支援、サトーは、ダイナミックプライシングシステム・電子棚札・実験の運用、西日本イシダは、POSシステムの改修、まいづる百貨店では、実験の実施場所の提供・実験の運用を、それぞれ担当する。
実験後は、参画企業が実験結果を検証した上で、それぞれの分野から、サプライチェーンの効率化・食品ロスの削減に役立つサービスの開発と社会実装に向けた活動を推進するとしている。
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