「green Lawson」に見る未来のコンビニ ―渡辺広明氏に聞く、コンビニとデジタル⑤

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我々にとって身近なコンビニ。

特集「コンビニとデジタル」では、コンビニにおけるデジタル化の現状や、本当に必要とされているデジタル技術とは何なのかなどについて、マーケティング・流通ジャーナリストの渡辺広明氏とIoTNEWS代表の小泉耕二が対談してきた。

今回は特集「コンビニとデジタル」の第二弾。2022年11月28日に東京都大塚にオープンし、アバター接客や食品ロス削減など、サステナブルな施策に取り組んでいる「green Lawson(グリーンローソン)」に小泉が実際に足を運び、そこから見えてくる未来のコンビニについて、渡辺氏と対談した。

渡辺広明氏は、ローソンに22年間勤務し、店長、スーパーバイザーなどを務めた後、ポーラオルビル・TBCを経て2019年にやらまいかマーケティングを設立。現在は商品開発、営業、マーケティング、顧問、コンサルティング業務などで幅広く活動。フジテレビのニュース番組「FNN Live News α」でレギュラーコメンテーターも務める。

様々な施策を実践し、全国に展開していくための実験店舗

IoTNEWS 小泉耕二(以下、小泉): 「green Lawson」は、様々なサステナブルな施策を集約し、近未来型店舗の実現を目指して、JRの山手線大塚駅から約4分の立地にオープンしたコンビニです。

ローソンのオープン時の発表によると具体的には、

  1. 「アバター接客」
  2. 「おもてなしクルー」
  3. 「セルフレジによる省人化」
  4. 「サービスカウンター」
  5. 「自薦・他薦ロボ」
  6. 「できたてモバイルオーダー」
  7. 「ゴーストレストラン」
  8. 「冷凍食品の拡充」
  9. 「弁当の冷凍販売(解凍機)」
  10. 「ピックアップボックス」
  11. 「セルフレジでのタバコ・酒販売」
  12. 「カウンター一体型のタバコ什器」
  13. 「処方箋ロッカー」
  14. 「扉付き要冷気」
  15. 「レジ袋・カトラリーの撤廃」
  16. 「エコバック・マイカトラリー販売」
  17. 「再生プラスチック使用の看板」
  18. 「再生プラスチックを使用した買い物かご」
  19. 「リサイクル紙袋の利用」
  20. 「専用ユニフォーム」
  21. 「エシカルコーナー」
  22. 「フードドライブ」
  23. 「リサイクルウェア回収」

と、23個もの施策に取り組んでいます。

私も実際に「green Lawson」に行ってきたのですが、まず看板が通常のローソンとは違うことに気が付きました。

green Lawson」から見える未来のコンビニ ―渡辺広明氏に聞く、コンビニとデジタル⑤
グリーンローソンの看板

マーケティングアナリスト・流通ジャーナリスト 渡辺広明氏(以下、渡辺): 看板に使用されているカラーは、SDGsの17テーマのイメージカラーに、空や海、地球をイメージした青をメインカラーとした全18色のオリジナルカラーで構成されているそうです。

小泉: なるほど。実際に店内に入ると、ペットボトルのキャップをリサイクルして作られた買い物かごが出迎えてくれ、環境に配慮していることが伺えます。

green Lawson」から見える未来のコンビニ ―渡辺広明氏に聞く、コンビニとデジタル⑤
再生資源を活用した買い物かご。素材全体の約30%が、リサイクルされた約53個分のペットボトルキャップからできている。

その他にも、カトラリー類は配布をしていなかったり、家庭で必要のない紙袋や食品を回収してリユースしたり、冷蔵庫に扉をつけてCO 2を削減したりと、コンビニとして環境のためにできることは全て実践しているという印象でした。

green Lawson」から見える未来のコンビニ ―渡辺広明氏に聞く、コンビニとデジタル⑤
左:カトラリーの配布を終了したというお知らせ。 右:不要になった紙袋を回収するボックス。必要としている利用者が活用するなどのリユース活動が行われている。
green Lawson」から見える未来のコンビニ ―渡辺広明氏に聞く、コンビニとデジタル⑤
冷蔵庫に取り付けられている扉

渡辺: 確かに「green Lawson」で取り組まれている項目は、SDGsに則した内容が多いと感じますが、実際は「未来のコンビニ」が目指す取り組みが集約されていると思います。

ですから、私としては、「green」というSDGsのイメージを彷彿とさせるのではなく、「Future」という未来のコンビニを想起させるネーミングにしてほしかったです。 大塚という立地に「green Lawson」の1店舗目をオープンしたのも、各施策を実験的に試してみて、全国に展開していくという未来へ向けた意図があります。

小泉: 実験店舗であるということは分かりますが、大塚である理由があるということでしょうか。

渡辺: まず前提として、今回オープンした「green Lawson」は、直営店ではなくオーナー店舗だということです。

実験した施策を全国に展開していく際に、「直営店だから成功した」という印象を持たれないためにも、理解のあるオーナー店舗からスタートしたという経緯があります。

また、大塚は「都市部」や「オフィス街」といった特定の印象がなく、住宅もあれば歓楽街もあり、学生もいるような場所で、立地的にも汎用性が高い場所だと言えると思います。

小泉: 確かに駅からも少し分かりづらい立地で、歩いている人たちも普通の生活者や学生など、様々な人が行き交っていた印象です。

渡辺: 「green Lawson」という店舗を広めるというよりも、「green Lawson」で実験した施策を、1万5000店弱の全国に拡大展開したいと思っているからです。

小泉: 「green Lawson」で実施した施策を、部品のように小分けにして展開していくという発想ですね。
(第6回に続く)

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