2019年7月2日に品川で開催された「SORACOM Discovery 2019」内にて「ロボットとサービスを融合するための通信と認証~Honda RaaS Platformの事例~」と題された講演が開かれた。
講演では本田技術研究所ライフクリエーションセンター・ロボティクス開発室・プロジェクトリーダーの東治臣氏と、同研究所の研究員である西宮憲治氏が登壇し、研究所が進める「Honda RaaS Platform」について発表した。
「Honda RaaS Platform」とは
「Honda RaaS Platform」とは何か。これについては、本田技術研究所・東氏が概要を説明した。
RaaSとは「Robot(Robotics) as a Service」の略称であり、ロボティクスの機能をネットワーク経由で利用するサービス形態のことを指す。
「Honda RaaS Platform」とはロボティクスサービスを開発・運用する機能をクラウド上で提供するプラットフォームであると、本田技術研究所・東氏は語る。
ロボティクスサービスの機能をクラウドを介して提供するメリットとは何か。それについて東氏は、ロボット開発者が高負荷の処理をクラウドにオフロード(システムの機能を部分的に取り出して、外部システムに渡すこと)ができること、ロボット運用者が複数台のロボットを管理運用できること、の2点をあげた。
東氏は複数のロボットを動かす例として、開発中のお茶出しサービスが紹介された。
これは注文を受けるロボット、お茶を掴む・渡すロボット、お茶を運ぶロボットと役割が分担されたロボットを同時に動かし、ロボット同士が協調して作業を行うように制御するというもの。
講演では注文の受付から、お茶を客席に運ぶまでの一連の流れを動画で公開した。
まずはコミュニケーションを専門とするロボットが客席へ行き、お客様から「お茶を持ってきてください」と言われると注文を受け付ける。
次にアームロボットがカメラでお茶のペットボトルを認識し、お茶を掴む動作を行う。
最後にお茶を運ぶ専門のワゴンロボットがアームロボットからお茶を受け取り、客席までワゴンロボットがお茶を運んでいく。上記の画像はアームロボットとワゴンロボットが協調してお茶を受け取る場面である。
上記の画像は、お茶出しサービスのロボットが現在どの位置でどのように稼働しているのかをモニターしている画面。各ロボットの状態を判断しクラウド経由で指示を出す形でロボット同士の協調を制御しているという。
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1986年千葉県生まれ。出版関連会社勤務の後、フリーランスのライターを経て「IoTNEWS」編集部所属。現在、デジタルをビジネスに取り込むことで生まれる価値について研究中。IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。