モノづくり現場では、従来からの人手不足による自動化ニーズに加え、新型コロナウイルス感染症の影響で、ロボット導入による自動化への期待が高まっている。
スカラロボットは、立ち上げが比較的容易なうえ、高速な作業の自動化ができることから、以前から導入が進んでいた。しかし、ロボットは周辺機器と異なるコントローラーで制御されるため、それぞれ密接に連動させることが難しい上、複雑な作業を行うためには取り付けるエンドエフェクター(※1)が重くなりロボットの可搬重量が不足するなど、スカラロボットで自動化できる組立・搬送作業には制限があった。
オムロン株式会社は、簡単に組立や搬送を自動化するスカラロボット「i4シリーズ」を発売した。詳しい特長は以下の通り。
- 最大可搬重量15kgに対応
- 容易な導入を実現
- 想定外の停止を防ぎ、機会損失を最小化
- 多様なラインナップで生産ラインの拡張性と柔軟性をサポート
i4シリーズは可搬重量15kgまで対応し、ロボットアームの内部にEtherCAT通信を内蔵することで、エンドエフェクター部にEtherCAT機器を付加し、多様なハンドリングやロボット統合コントローラー(※2)との連携で、より精度の高い搬送動作や組立動作を実現する。
例えばこれまでは、多品種対応や多能工化対応のためのフレキシブルなロボットハンドが必要な場合や複数個のワークを同時処理する場合に、ロボットハンドの先端の機構が複雑になるために、ハンドが重くなり可搬重量が不足するケースや、制御信号の入出力点数不足や配線が複雑化することの課題を解決するという。
コンパクトな筐体にロボット制御ボックスやケーブルを内蔵し、設置面積の最小化を実現した。配線も簡単になり、新設・既設を問わず様々な設備へ容易に導入できる。また、ロボット統合コントローラーのプログラミングソフト「Sysmac Studio」統合ソフトウェアで、簡単にプログラムを組むことができる。
さらに、シミュレーション技術により設備設計の初期段階で、装置パフォーマンスの検証を可能にし、設備の仕様特定を担うメカ設計者と、設備の制御プログラミングを担う電気設計者が協議しながら並行して設計できるようになる。その結果、設備立上げ時のミスや後戻りを防止し、短期間の立上げを実現する。
i4シリーズは、自らの運転状態を光で表す「予知保全」機能を搭載している。トラブルシューティング機能とロボットのベース部分に配置したディスプレイやリング型のライトによって、適切な操作をユーザーに促し、常に最適な状態を維持することで、突発停止による機会損失を最小化する。
i4シリーズは、リーチ長や可搬重量の豊富なラインナップにより、生産ライン全体の性能向上を最適なコストで実現すると共に、ユーザーの生産ラインの拡張を柔軟にする。
中・大型サイズでハイパフォーマンスモデルのi4Hと、コンパクトで軽量用途に適応するi4Lで構成されている。小型のi4Lシリーズには、従来のシンプルな制御でも活用できるようEthernetタイプをラインナップし、より幅広いアプリケーションに適応する。コンパクトな筐体にコントロール部が内蔵され、設置面積抑えられる上に、床置き、壁掛け設置が可能なため、新規設備設計だけでなく既存設備の改造にも適するとのことだ。
※1 エンドエフェクター:産業用ロボットのハンドの先に取り付ける機器。用途に応じて、様々なものに取り換えて使用する。
※2 ロボット統合コントローラー:オムロンの生産設備を構成するロボットと制御機器をOneコントローラーで統合制御するコントローラー。
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