デジタル化の進展、クラウドサービスの発展等により、データセンター(以下、DC)の需要は高まっている。DCの運用にあたっては、サービス品質維持のため24時間365日、監視や巡回などが必要である。
しかし、労働人口減少で人材確保が困難になり、運用品質の低下やコストの増加が懸念されている。また、機器の状況確認や問題発生時の回復措置については、現場での作業が必要な場面も多く、コロナ禍におけるエッセンシャルワーカーの感染予防対策も新たな課題となっている。さらに、ロボットやAIの進化により、DCにおけるロボット活用の取組みは増えているが、完全無人化に向けてはまだ技術的課題がある。
エヌ・ティ・ティ・コムウェア株式会社(以下、NTTコムウェア)と株式会社HBAは、IOWN構想を見据えて、ロボット運用に適したDCの検討を目的とした共同実証実験を2022年3月~2023年3月の期間、実施する。
同実証実験では、NTTコムウェア幕張拠点および加須ビルにおいて、HBAの自動巡回ロボット「HSR(HBA SMART ROBOT)」を活用しDCの運用状況把握や障害検知時の回復措置を行い、収集されたデータや稼働状況をNTTコムウェアのデータ分析・活用基盤「Smart Data Fusion」等のデジタルツイン上にて蓄積・分析し、DC運用業務省人化のライフサイクルについて検証を行う。
また、ロボットや機器などの「リアル空間」と、映像・センサー・位置情報等によりサイバー空間上にモデル化された「デジタルツイン」との間では大容量データ送受信が必要となり、ロボットによるアクションのタイムラグ解消等も実用化への課題となる。そのため、実用化にあたってはオールフォトニクス・ネットワーク(以下、APN)(※)による超高速・大容量通信を前提とし、同実証実験においてはNTTコムウェアのAPNテストベッド環境を用いて検証を行う。
なお、同実証実験においてNTTコムウェアは、デジタルツインおよびAPNテストベッド環境構築、データ分析基盤および4D可視化ソリューション提供、データ分析およびAI活用ノウハウの提供、データセンターの運用保守業務ノウハウ提供を行い、HBAは自動巡回ロボットおよび各種センサー、データ収集および点検ノウハウの提供、データセンターの運用保守業務ノウハウ提供を担う。
今後両社は、ロボットを活用したDC運用業務の省人化ライフサイクルの確立に向けて、2022年度早期に基本的な技術検証を完了し、ユースケースを検討、実運用に向けた実装を行い、2024年度商用化をめざすとしている。
※ APN(オールフォトニクス・ネットワーク):フォトニクス(光)をベースとした技術で低消費電力・高品質・大容量・低遅延の伝送を実現するネットワーク。
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