パナソニックホールディングス株式会社(以下、パナソニックHD)は、ロボット制御において、環境(ドアやテーブルなど)との接触を含む動作をロボットに教示する際に、教示した動作を正しく完遂する「パフォーマンス」と、接触時の「安全性」を両立する制御パラメータを効率的に学習する技術を新たに開発した。
この技術では、バネのように柔軟な挙動をするロボットを想定し、人がロボットに教示した動作の分節化と、多目的ベイズ最適化で制御パラメータを求める二段階の手法を考案し、従来法に比べて効率的にロボットをプログラムする。
技術開発ではまず、パラメータ最適化が行いやすいよう教示した一連の動作を分節化し、多目的ベイズ最適化により、各分節の最適なインピーダンスゲインを求める二段階の手法を考案した。(トップ画参照)
前段として、今回開発した分節化手法IC-SLD(Impedance Control-aware Switching Linear Dynamics)は、教示した一連の動作がインピーダンス制御が想定するバネ系の運動方程式の複数の組合せによって生成されたと仮定し、方程式内の未知のインピーダンスゲインと方程式の切り替え時刻を推論する問題として定義されている。
IC-SLDはこの問題を、予測される軌道と実際の教示軌道の誤差を最小化することで求解する。
「e.g.」「GMM」「SLD」といった従来法と比較し、IC-SLDは最適化に適した分節化を実現した。
次に、後段では、事前知識を活用したベイズ最適化により、インピーダンスゲインを探索する。
IC-SLDは、インピーダンスゲインの推定値も出力するため、これを解候補として活用することで最適化を効率化する。
事前知識を利用可能なベイズ最適化π-BO[Hvarfner+,ICLR2022]を応用し、タスク性能の指標(報酬関数の累積和)と、安全性の指標(剛性パラメータの累積和)を同時に最適化するインピーダンスゲインを、ロボットの動作試行を繰り返しながら探索する。
シミュレーションおよび実機評価において、今回開発した手法が従来法よりも短時間で、インピーダンスゲインの学習が可能なことが確認された。
なお、今回発表された技術は、AI・ロボティクス技術のカンファレンス「IEEE/RSJ International Conference on Intelligent Robots and Systems(IROS)2023」に採択され、2023年10月1日から10月5日まで、米国デトロイトにて開催される会議で発表される。
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