日本電気株式会社(以下、NEC)は、整理されず不規則に配置された物品に対し、精密なハンドリング作業が可能なロボットAI技術を開発した。
今回開発された技術は、昨年発表されたロボット制御AI技術を発展させたものだ。
具体的には、映像を物体単位で解釈する「世界モデル」を応用し、ロボットが映像データから作業環境や自身の動作結果を高精度に予測する「時空間予測」と、それに基づいて最適かつ精密な動作を自動で生成する「ロボット動作生成」の2つから開発されている。
このAI技術は、多様な形状の物品に対して、精密な動作を最適な順序で自律的に実行する能力がある。
現場で人手によって行われるハンドリング作業は、多様な動作の組み合わせによって実行されている。しかしロボット制御では、「押す」「引く」といった動作は、「掴む」「置く」といった動作に比べ、動作や物品形状の僅かな変化で物品の動きが大きく変わるため、従来の技術では高精度に実行させることが困難だった。
今回開発された技術では、上述した世界モデルの応用により、映像データからロボット動作に対する多様な形状の物品の動きを高精度に予測するモデルを学習し、「押す」「引く」といった精密動作を実行させることができる。
また、複数の物品が隣接したり重なったりした作業環境において、人は隠れて見えない領域を無意識に予測し、物品が崩れないように取ったり、完全に見えない障害物との衝突を避けたりといった動作を行う。
しかし、従来のロボット向け認識技術では、見えている領域から隠れた領域を予測するために、物品等が隠れた状態を示す教師データを大量に準備して学習させる必要があり、実用化が困難だった。
そこで今回の技術では、世界モデルの応用により、ラベル付けが不要な教師なし学習を実現し、隠れた物品形状の予測モデルを効率的に学習させることが可能だ。
NECは今後、2024年度中に物流倉庫など人手による作業が多く残る現場において、この技術の実証を進める予定だ。
なお、NECはこの技術を、東京ビッグサイトで2024年2月20日〜21日に開催される「ロジスティクスソリューションフェア2024」で紹介するとのことだ。
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