木材チップ専用船では、船倉内に積載された木材チップをショベルカーで寄せ集め、クレーンにより荷揚げする。船倉の隅に溜まり壁に付着した木材チップを回収する際は、重機が届かない、あるいはそぎ落とす時に船倉壁を傷付けることがあるため、作業員がスコップやフォークのような道具を使用し掻き出し作業を行う必要がある。
この掻き出し作業には、「高さ10mほどの船倉内を上り下りする」「季節要因で船倉内が低温・高温になりやすい」「木材チップが酸素を吸収するため酸欠のリスクがある」などの課題がある。
こうした中、日本郵船株式会社、日本製紙株式会社、知能技術株式会社、岩国産業運輸株式会社の4社は、荷役中の木材チップを掻き出すロボットの遠隔操作トライアルを日本製紙岩国工場で実施した。
掻き出しロボットとは、遠隔操作で油圧ショベルカーのアームと、取り付けられたスクレーパーとブラシを動かして木材チップを掻き出すものだ。
アームは高さ3メートルまで伸ばすことができ、壁に付着したチップを取り除くことが可能で、船倉の隅に溜まった木材チップはアームの位置を下げ、ブラシで直接寄せ集めるか、押し出すことができる。さらに、建造物の隙間など狭い空間に挟まった木材チップも掻き出すことが可能だ。
今回実施されたトライアルでは、日本郵船と日本製紙の長期輸送契約に従事する木材チップ専用船で、掻き出しロボットの試作機による作業を実施した。荷役中に船倉内で約2時間にわたって遠隔操作を行い、機能性や安全性の確認などを行った。
今後4社は、2024年度中に初号機の完成と実際の荷役での使用を目指すとしている。
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