中小企業の溶接工程においては、「多品種少量生産が多いため専用機導入のメリットが出しにくい」「工程が多く、かつ形状が複雑であるため自動化しにくい」「材質や形状に合わせた条件出しが難しく、ロボットのティーチング作業などで常に微調整が発生するため熟練した技術が必要」などの理由から、ロボットの導入が進まないという実情がある。
そこでスギノマシンは、独自のロボット制御とセンシング技術を組み合わせて、ティーチレスとワークのバラつきに対応した「ファイバーレーザー溶接ロボットシステム」を開発した。そして、その1号機を株式会社フジムラ製作所に納入し、稼働開始したと発表した。
同商品は、主に同社製のロボットCRb(シーアールビー:Connected Robot)と、その制御/操作ユニット、ファイバーレーザー溶接機器、溶接定盤などで構成されている。
CRbは、1mを超える長尺ワークにも対応できるよう、水平軸を備えた壁掛けタイプを採用している。可動域が広く、長手方向ストロークのカスタマイズが可能なほか、比較的小さなワークサイズであれば、協働ロボットによるシステム化も可能だ。
また、ティーチングレスの中核となるロボットシミュレーションソフト「CROROROS(クロロロス)」と、稼働状況や溶接データの保存・分析・可視化を行うIoTツール「ViiNUS」などとデジタル連携している。
「CROROROS」は、3DCADデータ上のワークの溶接箇所や条件を指定することにより、オフラインで動作検証することができるソフトだ。その結果、自動生成されたロボットプログラムは装置側に転送され、最小限の操作で自動溶接が可能だ。
一方「ViiNUS」は、同社の生産性可視化ツールで、装置の稼働状況や溶接データを収集・保存し、そのデータを分析するほか、稼働状況のモニタリング機能も標準装備している。
さらに、ロボットの手先には新しいセンシング機器を搭載し、溶接経路をリアルタイムで自動補正する機能「アクティブトラッキング」を備えている。
この機能では、「CROROROS」で生成したプログラムの動作で実ワークのエッジを検出すると同時に、アクティブトラッキングでその位置や形状のバラつき、変形量に合わせた実際の溶接経路を自動補正する。
なお、「ファイバーレーザー溶接ロボットシステム」の開発にあたっては、株式会社フジムラ製作所がアドバイザーとして協力したとのことだ。
今後は、2025年1月22日~24日に東京ビッグサイトで開催される展示会「第9回ロボデックス(Factory Innovation Week)」にて、加工サンプルと共に概要を紹介する予定だ。
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