2016年11月16日から3日間、パシフィコ横浜にて開催されていた「Embedded Technology/IoT Technology総合技術展2016」におけるSTマイクロのマイコンを使ったサクソフォン演奏ロボット、着けている人の視線がどこに向いているかを識別できるTobiiのアイトラッキンググラスのレポートを行う。
STマイクロエレクトロニクス
サックス演奏ロボット「WAS-4R」
本ロボットは早稲田大学のヒューマノイド研究所によって研究・開発され、各動作部の制御にSTマイクロ社のマイコンが使用されている。この演奏ロボットは録音されたサックスの音を流すといったものではなく、サックスを吹く際の人間の諸動作(呼気、口、運指)を再現し実際にロボットがサックスを演奏する。息の吹込み、口、指の動きの連携が取れていないと音がしっかりと出ないためその制御をマイコンによって行っている。
本ロボットの両手には全部で19個のモーターが入っており、それらの制御もSTのマイコンによって行われている、またワイヤーのたるみなどによって指の制御に遅れることを考慮し、指部の回転軸に入った角度センサで各指の角度の同期を取るようにしている。
トビー・テクノロジー
Tobii Pro Glasses 2
視線計測行うためのアイトラッキング機器の製造を行っているトビーのブースではアイトラッキングができるウェラブルグラスである「Tobii Pro Glasses 2」の展示が行われていた。
本製品は装着者の瞳孔の位置を認識することで視線がどこにあるかを特定することができる。工場内の目視による異常確認などでは口で確認すべき箇所を伝えることができても、実際にどこに視線を向けるべきかを具体的に伝えることができなかった。本製品を使うことでベテラン作業者と未経験の作業者で視線の動きにどのような差異があるかを可視化することができ作業者教育に役立てることができる。
また視線がどこに集中しているかをわかりやすくヒートマップで表示することができ、小売店の顧客などがどこに注目しているかのデータをマーケティングに利用することができる。また、度入りのレンズもオプションとして存在するため、眼鏡使用者でも問題なく利用することができる。
今後は装着者の位置データも取得し、どの場所でどのように視線を動かしたかのデータを収集できるようにすることで今まで機械化が難しかった目視確認作業をロボットに行わせるための指導用データ作成の機器としても利用も考えているという。
【関連リンク】
・モノからコトへ、組み込み技術が生み出すサービス ET/IoT Technology総合技術展 2016 レポート①
・テキサス・インスツルメンツ、Sigfox日本仕様の認証を取得した超低消費電力ワイヤレス・マイコン開発キット「CC1310 LauchPad」 ET/IoT Technology総合技術展 2016 レポート②
・Acer(エイサー)のクラウド一体型スマートビジネスソリューション ET/IoT Technology総合技術展 2016 レポート③
・ET/IoT Technology総合技術展 2016
・トビー・テクノロジー(Tobii Technology)
・エス・ティー(ST)
無料メルマガ会員に登録しませんか?
コンサルタント兼IoT/AIライター 人工知能エンジン事業の業務支援に従事するかたわら
一見わかりにくいAIの仕組みをわかりやすく説明するため研究中