農林水産省食料産業局によると、小売業の年間休日総数は全産業と比べて特に少なく、さらに労働時間は長いことから人手の確保が難しくなっているという。
また、飲食料品小売業の労働生産性は、全産業と比べ半数以下となっている。従業員の業務・作業の負担を軽減し、労働時間を効率化することにより生産性を高めること等が指摘されている。
このようなことから小売業の分野にもデジタルの力を導入し、効率化を測ることが重要だ。
そこで、今回は最近のIoTNEWSの記事から、小売りの在庫管理のデジタル化に寄与するソリューションを3つ紹介する。
在庫管理と自動発注を同時に行う
まずはIoTNEWSの事例ページでも取り上げられている重さで在庫管理をするソリューション「スマートマット」のニュースだ。
[参考記事] スマートショッピングとインフォマート、IoT機器とプラットフォームを活用した在庫管理ソリューションサービスを開始スマートマットを提供するスマートショッピングは、「BtoBプラットフォーム受発注」を提供するインフォマートと提携をし、スマートマットの上に乗せている商品の値が設定値を下回るとBtoBプラットフォーム受発注を通じて自動発注するサービスを開始した。
スマートマットはシンプルなシステムだからこそ、低価格で簡単に導入できると評判であったが、そこにさらなる付加価値をつけてアップデートすることにより、既存の顧客の満足度アップと新規顧客の獲得が期待できるだろう。
スマートマットはサブスクリプションモデルを導入おり、今回の提携はそれをうまく活用したサービスだといえる。
このシステムはすでに複合施設の星野リゾート トマムに導入されているとのことで、ホテルや小売業にもテクノロジーが導入されていることが伺える。
AIを使って需要予測を立て、最適な発注を行う
一方スーパーの西友では、適正な発注を行うためにAIを活用して需要予測を立て、それに応じて発注をするという取り組みを日立の「Hitachi Digital Solution for Retail/AI需要予測型自動発注サービス」を適用して共同実証実験を実施したことを発表した。
[参考記事] 西友と日立、 AIによる需要予測に基づき自動発注を行うシステムを導入開始従来では熟練のスタッフが天候やイベントなどを考慮し、ある意味「勘」で発注を行なっていたという。それを過去の在庫・発注・販売・廃棄量や天候・イベント情報などをAIに取り込み、予測を出すというものだ。
食品ロスが企業の問題だけでなく社会問題となっており、10月には「食品ロスの削減の推進に関する法律」が施行され、小売業はその対応を求められている。
つまり在庫を適正に発注するということは企業へのメリットはもちろんのこと、社会的意義ももたらすことになる。さらに今後人手不足、特に熟練者・経験者の不足が深刻になる前にこのような手を打っておくのは得策だといえるだろう。
店舗の在庫もリアルタイムで管理
最後は凸版印刷とタカヤ株式会社は共同で開発した、店頭に並んでいる商品の在庫管理もテクノロジーで可視化するというスマートシェルフを紹介する。
[参考記事] 凸版印刷とタカヤ、ICタグを活用して吊り下げタイプの商品棚に陳列された在庫をリアルタイムで確認できるスマートシェルフを開発これは商品にICタグを貼り付け、棚の吊り下げフックの部分にアンテナを装着し、商品を棚のフックから手に取るとリアルタイムで在庫が減ったことを検知するというものだ。
さらにこれをデジタルサイネージと組み合わせることで、手に取った商品の説明や関連広告を流すことができ、省人化に繋がるという。
いかにテクノロジーで代替えできることは移行していくかが重要となってくる。
在庫管理に関していえば、単に発注や棚卸しという手間が省けるだけでなく、データとして蓄積されることで、店舗の方針を考える際にも使える情報となってくる。
今回は小売業の在庫管理にフォーカスを当てて紹介をしたが、その他にも小売業には様々なテクノロジーが活用され出している。
今後も小売業におけるテクノロジーの導入に注目していきたい。
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