サハラ砂漠を境にして、アフリカを北と南に分けた時、南に属する地域をサブサハラ・アフリカという。
サブサハラ・アフリカは世界の陸地面積の18%に相当する2,424万km2の土地を有しており、そこには約10億人が生活を営む。
しかし、国際エネルギー機関(IEA)によると、約10億人のうち、電気を自由に使えない人々は6億人近くいるようだ。「電気を自由に使えない」というのは、発電所から自宅まで電線が引かれていないために電気が供給されていない状態をいう。
なぜ電気が供給されていないのかというと、サブサハラ・アフリカは土地が広大であるために人々が点在してしまっているからだ。つまり人口密度が低い。人口密度が低いと、送配電線を延伸するというアプローチが機能せず、電化が難しい。一方、未電化地域の人口は電化のペースを上回って増加しているため、世界的にアフリカでのみ電気を使えない人々が増えている。
このような状況にあり、未電化地域で電気を売るオフグリッドソリューション・ビジネスが盛んだ。しかし、未電化地域へ電気を売る際の一般的なビジネスモデルは、太陽光パネルを分割払いで提供するというもの。この場合、中所得者層以上は購入できても、定期的な収入のない低所得者層は利用出来ず、電気が行き渡らない。
そこで、2013年に創業したWASSHA(ワッシャ)株式会社は、2015年1月よりタンザニアで電力サービス事業(Energy as a Service)をはじめる。キオスクと呼ばれる現地の個人商店に太陽光パネルを設置し、発電した電気をLEDランタン、バッテリー、充電器などの様々な機器に充電。それらを貸し出すというビジネスだ。
これまで、外が暗くなるとロウソクや灯油ランプを使って生活していた人は、煙を吸い込んで呼吸器疾患になってしまったり、灯油ランプが倒れて火事になるということもあった。また、携帯電話を充電したいと思ったら数時間かけて電気のある町まで移動しなければならなかった。しかし、WASSHAのサービスを利用することで最寄りのキオスクでLEDランタンを借りられたり、携帯電話の充電が手軽に出来るようになる。
こうした電力サービス事業を通じて、WASSHAはこれまで1,600店舗のキオスクと連携し、モバイルマネーを用いた決済システム、機器制御システムを構築してきた。直近では、構築してきた資産を有効活用するため、物流サービスの実証実験を開始している。
物流サービスというのは、契約しているキオスクがアプリ経由で、WASSHAのネットワーク通じ、商品の仕入れが行えるというものだ。なお、WASSHAはキオスクからの注文があった翌日には配送を実施する。
さらに12月24日、WASSHAとヤマハ発動機株式会社はこの物流サービスに関する協業を開始した。同協業によって、WASSHAの展開する電力サービス事業の機材輸送と物流サービスにおけるラストワンマイル輸送に、ヤマハ発動機の高効率かつ耐久性の高い二輪車が活用されるようになる。2020年度中に実証を完了し、本格事業の開始を目指す。
WASSHAは、キオスクなどのステークホルダー間の物流を担い、物流機能を高度化・集約化することで、透明性の高い、安価で高効率な物流機能を提供できるようになるという。将来的には、構築された物流機能をWASSHA以外の企業へオープン化し、日本をはじめとするグローバルメーカーあるいはEコマース企業のアフリカ進出を容易にしていく展望だ。
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現在、デジタルをビジネスに取り込むことで生まれる価値について研究中。特にロジスティクスに興味あり。IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。