JR東日本スタートアップ株式会社と、サインポスト株式会社の合弁会社で、無人AI決済店舗の開発を進める株式会社TOUCH TO GOは2020年3月23日よりJR山手線の高輪ゲートウェイ駅構内において、無人AI決済店舗の「TOUCH TO GO」を開業する。
「TOUCH TO GO」は、ウォークスルー型の完全キャッシュレス店舗だ。
利用方法は入り口のゲートを抜け、棚から商品を手に取り(商品はそのまま手持ちのバッグや服のポケットに入れても問題ない)そのまま決済エリアへ進む。決済エリアへ入るとパネルに自分が手に取った商品が表示され、購入しようとしているものと合っているかどうかを確認後に交通系ICで決済を行い購入完了となる。
アプリ・会員登録不要で誰でもすぐに利用できる
同じように無人・省人化が進むコンビニ、店舗として挙げられるゲートを通過するだけのAmazon Goや以前こちらの記事で取り上げたクラスメソッド株式会社のDevelopers.IO CAFE、富士通のマルチ生体認証を利用したローソンの実験店舗などと違い、出口で一度パネルを確認し決済を行う必要があるが、「TOUCH TO GO」がこれらの店舗と異なるのは事前の登録等が不要で交通系ICさえ持っていれば誰でも利用することができるという点だ。
なお、決済方法も今後クレジットカードやその他電子マネーに順次対応していく予定だ。
商品が自動で認識される無人レジに早くから取り組んでいるユニクロは、商品にRFIDタグを付けることでカゴに入った商品が何かをRFIDタグを認識する専用のレジで自動で読み取っているが、今回の「TOUCH TO GO」ではカメラの2D画像解析やToFセンサー(距離を計測するセンサー)、重量センサー等およそ50機のセンサー類を活用して買い物エリアに入った瞬間から利用者が何の商品を何個手に取ったかを追跡している。
同時入店可能人数は7~10名へ増加
同社は2018年10月より約2ヵ月間赤羽駅構内で実証実験店舗を設置しており、この実証実験では1度の入店人数は3名までとなっていた。
同時に入店する人数が増えると判定ミスが増えるため人数制限を行っていたが、今回高輪ゲートウェイ駅に新たに常設店舗として開店する店舗では7~10名の同時入店が可能となっている。
今後は実際に店舗を運営する中で改良し、同時入店の人数を増やしていく予定だ。
オペレーション側を強化し横展開へ繋げる
開店を自動化
今回の店舗面積は約60平方メートルで、通常この規模の店舗を運営するには常時3名の従業員が必要とされているが、「TOUCH TO GO」はレジが無人化されているため従業員は1名で運営が可能だという。
開店作業についても、多くの店舗では開店の1時間ほど前から作業を行う必要があるが、「TOUCH TO GO」は自動で開店するようになっている。
高輪ゲートウェイ駅という立地からしても開店時間である6時に来れる従業員となると人が集まり難いため自動で開店する必要がある。
実際、人員が必要になるのは商品の補充とお酒の販売時の年齢確認くらいだという。
店舗運営を止めずに品出し
また、品出しについても、前回の実証実験の店舗では品出しの際に一度営業を止める必要があった。カメラやセンサーが従業員と利用客の区別を付けられなかったためだ。
今回の店舗では従業員出入口から入店した人物を従業員としてカメラに認識させることで利用客と区別し、営業中の品出しを可能にしているという。
横展開を見据えたアプリケーション開発
前回300種だった取り扱い商品数は約600種まで増加している。
カメラやセンサーが利用者の追跡を行うために必要なのが商品の登録だ。
店舗に並んでいる商品は全てパッケージなどの情報を登録する必要があり、前回の赤羽店からの改良点は、この登録業務等を支援するアプリケーションの開発を行ったことだ。
仕入れ、廃棄、商品登録、棚替え等の店舗の裏側の業務を行えるアプリケーションによって、今回の店舗を常設することが出来るようになり、またパッケージされたソリューションとして横展開もしやすくなったという。
「TOUCH TO GO」は棚の可変が激しいスーパーなどは向いておらず、単価が低めの商品を置くコンビニのような店舗に向いているとしている。
今後の展開として5年後までに100カ所への導入を考えているという。
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