昨今は、気候変動の影響で気象災害が激甚化していることや、DXの流れで大手企業から中小企業やベンチャーまでデータ活用が進んでいる背景から、気象のニーズが高まっている。
株式会社ウェザーニューズは、天気アプリ「ウェザーニュース」をビジネス用に拡張し、法人向けの新サービス「ウェザーニュース for Business」をSaaS型サービスで提供を開始した。なお、2022年10月末までのお申し込みで、先着50社に同サービスの無償トライアルを提供するとのこと。
同サービスは、ウェザーニュースアプリ上で法人専用ページやPUSH通知を追加し、企業のニーズにあわせてカスタマイズした気象情報を提供する。スタッフの防災・BCP対策、学校運営支援、小売向け発注支援、ダムや発電所の管理支援、ドローンの作業支援、家畜の熱中症対策、アスリート支援など様々な市場のニーズに対応するパッケージが用意されている。
また、企業ごとにカスタマイズできる強風・大雨などのPUSH通知、気象IoTセンサー「ソラテナ」のデータ連携、オリジナル指数の開発など、個別の要望に対応する。料金は1アカウント月額980円から、30アカウントより提供される。
PUSH通知は、風速・雨量などについて企業がオリジナルの閾値やコメントを設定できる。あらかじめ設定しておくことで、登録地点の風速・雨量などが閾値を超えたときや、拠点で避難情報が発表された際に、本部と各拠点のスタッフが同時に情報を取得できる。
例えば、避難情報を受け取ったら迅速に閉店する、5mm/hの降水なら雨の日の人気商品を売り出す、というように気象状況に応じたアクションを決めておくことで、初動が早まるとともに見逃しを防ぐ。なお、PUSH通知には1kmメッシュの気象データを用いることで、拠点周辺の詳しい情報を表示する。
PC版の専用ウェブサイトでは、全国数地点から数十万地点のビジネス拠点と気象情報をマップ上で重ね合わせ、気象リスクの高い拠点を確認することができる。専用ウェブサイトでは、雨雲レーダー&落雷、熱中症危険度、土砂災害危険度、冠水・浸水予報、大雨閉店判断、河川水位情報、大雨通行障害リスク、鉄道運行影響、停電リスク予測、雷雨発生確率、避難情報など、様々な情報から必要な情報を選択できる。
なお、同サービスはアプリやウェブサイト上に気象情報を表示するソリューションサービスだが、各種データ自体をAPIなどで提供することもできるという。

全国にホームセンターを展開する株式会社カインズでは、自社の災害対策マニュアルに基づき、気象情報をトリガーとした対応策を決めており、気象に関する正確な情報と予測値の把握が課題となっていた。そこで、各店舗の初動対応を早めるため、PUSH通知や画面をカスタマイズして、2022年7月に全国約230店舗で導入された。
2022年9月の台風14号の際には、福岡県や熊本県などの店舗の営業判断などに活用された。本社の災害対策本部と現場のエリアマネジャーや店長が、同時に気象予測、各種の注意報や避難情報、気象に起因するアラートを受け取り、早い段階から営業に関わる準備や判断ができたことで、防災、減災に有効なツールであると感じたとのこと。本部および現場が同じタイミングで同じ情報を確認し、スムーズな意思決定を行うことができた、と話している。
また、カインズでは日常の営業活動にも活用できるように強風の通知をカスタマイズした。強風で屋外展示の商品に影響を及ぼしたり、買い物用のカートが風で流されてしまった過去の記録から、6時間以内の風速が閾値を超える場合にアラートが飛ぶように設定し、強風対策のアクションにつなげている。
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