建物管理業界では、労働生産人口の減少による管理員・警備員・清掃員等の人材不足・人件費高騰を受けて、管理委託業務費の値上げを要請せざるを得ない状況が続いている。
大和ライフネクスト株式会社と株式会社JR東日本ビルディングは、JR東日本ビルディングが運営・管理を統括し、大和ライフネクストが設備管理業務・清掃業務等を受託しているオフィスビルのJR目黒MARCビルにおいて、自律移動型ロボット導入の検討を開始し、清掃サービスの品質向上や作業効率化を目的とした約2ヶ月間の実証実験を経て、同ビルの清掃業務の一部において自律移動型ロボットを導入した。
自律移動型ロボットは、AIカメラやセンサーを通じて周囲の環境を認識し、人や障害物を自動で避けながら自律走行することができるロボットである。エレベーターや自動ドア、フラッパーゲート等とAPI連携(アプリケーションとプログラムを連結させること)をすることで、設定したルートの走行(清掃)が可能となる。
同実証実験では、JR目黒MARCビル内で、これまで清掃員が行っていた床面の掃き掃除にロボットを活用し、主に下記の点について確認を行った。
- ロボットとエレベーターのAPI連携を確認
- 夜間の無人状態におけるロボットの走行状況の確認
- ロボットによる床面の清掃状況を確認
フロアで所定の作業を終えた際には、ロボット自体がエレベーターの呼び出し、乗車、目的階の指定、降車、目的階での清掃開始など、一連の動作を人の手を借りずに行うことができることを確認した。管理スタッフがスタート起動するだけで、一つのロボットで複数フロアをまたいでの清掃が実現した。
これまでは清掃員が日中に行っていた作業に代えて、消灯後(夜間)の無人となる時間帯に、暗い中でロボットを稼働させることに成功した。
ロボットによる清掃データを収集できるため、ロボットの清掃ルートの見直しや、人(清掃員)の清掃仕様の見直しにつなげることが可能となった。
ロボットが「水平面(床面)の清掃」に特化することで、人(清掃員)は「人の手による清掃が適している、トイレやガラスなどの立面等の細部の清掃」に注力することが可能となり、建物全体における清掃サービスの品質向上に貢献する。また、オフィスビルが稼働していない夜間・休日に清掃作業を行うことができるため、テナント・ビル利用者の満足度向上につながる。そして、ロボットによる清掃データの可視化により、汚れやすい箇所・汚れの多い箇所の分析が可能となった。
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