生体認証システムは、人が生来持っている身体的な特徴(指紋、眼球の虹彩、声など)をもとに、本人を特定するシステムである。生体認証は人がそれぞれにもつ唯一無二の情報のため、偽造が難しく、セキュリティレベルが非常に高いといわれている。生体認証システムのうち特に「顔認証システム」は、指紋などとは異なり、認証した人が誰であるか管理者がすぐに認識できるなどのメリットがある。
近年、デジタル化が加速する中、セキュリティレベルの高い顔認証システムはオフィスビルの入退室管理や、空港における本人確認などに広く使われるようになるなど、世界的にも顔認証の市場は急速に拡大しており、2020年に38億米ドルの規模に達した。今後、市場は2021年から2026年の間に17.2%のCAGRで成長すると予想されている。
またこのような市場トレンドを受け、より一層のセキュリティ対策が求められている企業のオフィスや会議室などのスペース管理において、生体認証システムを導入する事例は増加している。
株式会社Photosynth(以下、フォトシンス)と凸版印刷株式会社、TRIBAWL株式会社(以下、トライバル)は、2021年9月より顔認証を活用したサービス開発で協業しており、「生活者が個人情報を自らの意思でコントロールできる世界の実現を目指す」ことを目的に、各社の技術・ノウハウを結集し、個人情報保護・認証機能連携サービスの開発を中心に活動してきた。
このほど3社は、顔情報のみで時間単位の会議室の予約やスマートロックと連携する顔認証入退室管理ソリューション「ピッコネ」を開発した。なお、同サービスは凸版印刷のグループ会社である株式会社トッパン・コスモが販売代理店となり、2023年10月から一般販売(企業向け)を予定している。
同サービスは、顔認証ソリューションだけでなく予約管理機能をはじめ、APIによる様々なサービス連携やカスタマイズが可能なサービスである。フォトシンスの後付け型スマートロック「Akerun」、トライバルの顔認証デバイス「kaopa」と凸版印刷の生活者主権の情報流通管理プラットフォーム「MyAnchor」をデータ連携させ、顔情報のみで時間単位の会議室の予約やスマートロックと連携したドア解錠を実現する。
また、利用者自らが顔登録することができるため、管理者の登録や確認業務が削減できるなど、導入企業のコスト削減にも貢献する。
今後凸版印刷は、同サービスの拡販を進め、2025年度までに関連事業も含め5億円の売上を目指す。
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