現代のビジネス環境では、情報が爆発的に増加し、その管理と活用は大きな課題となっている。とくに、紙データ、会話記録、営業データなどAIやデータ分析への活用が難しい「非構造化データ」は急速に増えており、この大量の情報から価値ある洞察を引き出すことは、競争力を持つために不可欠である。
一方で、行と列の概念がなく、どこにどのような情報が記載されているかの判別が難しい非構造化データは、AIの学習やデータ分析に活用することが技術的に難しく、多くの生成AIサービスでは非構造化データを十分に活用できていない。
株式会社DATAFLUCTは、社内外の非構造化データを含むさまざまなデータを、簡単な操作で収集・分析しやすい形に加工・蓄積するデータプラットフォーム「AirLake」と、OpenAIの人工知能「GPT-4」などを組み合わせた社内データ活用サービス「AirLake Chat powerd by OpenAI」(以下、AirLake Chat)の提供を開始した。
GPT-4は、自然言語処理を得意とするAIで、人々と自然な会話を行うことができる。この能力を活かして開発したAirLake Chatは、社内データと外部データを学習し、チャット形式で業務をサポートする。社内外の問い合わせ対応が多い企業や、過去データを蓄積しているが簡単にアクセスできる仕組みがなく、利活用できていない企業を対象としたサービスだ。
同サービスの効果検証では、過去の問い合わせ情報に基づくカスタマーサポートの効率化検証を実施し、過去の応対に対するコストを20%削減し、顧客ロイヤリティは現在の方法よりも向上する結果を得た。
カスタマーサポート業務以外にも、担当者が人力で行っていた「過去の類似資料を探して、参考にする」「文章を作成して推敲する」などあらゆる業務に必要な作業をサポートする。過去の問い合わせデータなどの社内資産と、最新の市況状況などの外部データを組み合わせて回答することができるため、担当者自身が気づかなかった点を指摘したり、経験の少ない業務を行う場合にヒントを得られるなど、業務の質の向上も期待できる。
また、同サービスはチャット履歴を学習データとして外部漏洩せず、アカウント管理機能、利用履歴分析機能を備えている。最新の生成AIを用いて、これまで埋もれていた社内のナレッジをセキュリティーに配慮した環境で活用できる。
さらに、同サービスは外部サービスとの連携も可能だ。例えば、株式会社竹中工務店が開発したビル用のデータプラットフォーム「ビルコミ」では、DATAFLUCTと竹中工務店が共同開発した空間分析基盤(BSAP:Building Space Analyze Platform)を介して同サービスとのデータ連携を予定している。
ビルコミは、建物情報や設備データを一元管理するプラットフォームで、ビル運営とメンテナンスを支援する。同サービスを活用することで、メンテナンス情報や設備の状態など、これまでデータ集計・分析が必要だった建物の状況を簡単に把握できる環境の提供を目指す。また、ビルコミのデータを外部漏洩せず、建物の利用者間で必要な情報を共有できるようにすることで、より効率的なビル運営・管理を可能にする。同機能は2023年12月より提供開始予定とのこと。
同サービスを活用することで、新たなドキュメントの作成支援や議事録や複雑な文章の要約に活用でき、文章読解・作成を効率化する。箇条書きで入力した内容から文章を生成したり、過去の提案データを同サービスから必要な機能や特長を学習し顧客ニーズにあわせた新たな提案書の文章を生成することも可能だ。
また、企業の製品やサービスに関する内部データ(FAQ、製品マニュアルなど)と、外部データ(製品やサービスに関する公開されている情報や一般的なカスタマーサポートの知識)を組み合わせて学習させることで、より詳細で適切な対応が可能になるほか、文脈を判断した上でメールや書面の校閲、翻訳を瞬時に行うことができるため、社内外のコミュニケーション品質向上と速やかな返信を実現する。
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