日之出水道機器のマンホールアンテナ
下水道展ではマンホールによるセンシングの展示も多く見かけた。トップ画像は日之出水道機器のマンホールアンテナだ。
これは実際、横浜駅周辺のマンホール4か所に設置されているもので、リアルタイムな水位データを確認し、管路内の推移情報を把握しつつ、蓄積したデータは雨水の挙動解析に利用されているそうだ。
横浜市がこのマンホールアンテナを導入した背景には、2015年の「水位周知下水道」制度の創設があるという。この制度は内水による相当な損害が生ずる恐れがある下水道について、特に災害の発生を警戒すべき「内水氾濫危険水位」を定め、その水位に達した場合に地方自治体は危険情報を周知させる必要がある、というものだ。
横浜市は「浸水被害対策区域」に指定されており、危険水位を把握する取り組みとしてマンホールアンテナを利用しているという。
東芝インフラシステムズの上下水道統合プラットフォーム「TOSWACS」
東芝インフラシステムズのブースでは上下水道統合プラットフォーム「TOSWACS」についての説明があった。これは水道プラントの運用コストを抑制し、少人数での維持管理、自動化を目的として同社が取り組んでいるものだ。

仕組みとしては気象レーダー、地上雨量計、管渠(水路)内計などのデータをクラウドソリューションである「TOSWACS-Cloud」に取り込み、水位、流入量、浸水エリアなどをAI解析などによって予測し、監視制御システムである「TOSWACS-V」によってクラウドでの予測をもとに施設内ポンプの起動・停止水位を自動的に制御する、という流れになっている。
特徴は異常監視の段階で、例えば風量と弁開度といった、2つの異なる統計データの相関から監視を行い、異状判定を行っていることだという。これによって管理限界内にある軽微な段階でも異常兆候を検知することができるとのこと。

「TOSWACS」について、今後はさらなる広域化を見据えて複数のプラントを連携させた自動化も検討していくという。
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1986年千葉県生まれ。出版関連会社勤務の後、フリーランスのライターを経て「IoTNEWS」編集部所属。現在、デジタルをビジネスに取り込むことで生まれる価値について研究中。IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。