ICTが急速に発展する中、地図は印刷物やカーナビゲーションといった人間が見るものにとどまらず、コンピュータやAIが現実世界を理解するための情報基盤として活用されるなど、用途が大きく広がりつつある。
更に、スマートシティにおける交通情報の分析など、将来予測による社会課題の解決においては、デジタルツイン実現への期待が高まっており、その実現のためにはより正確な位置精度と、そこに何があるのかなどの意味情報を持つ空間データが必要となる。
そこでエヌ・ティ・ティ・インフラネット株式会社(以下、NTTインフラネット)と、株式会社ゼンリンは、デジタルツインの位置基点となる「高度地理空間情報データベース」を効率的に共同整備するため、業務提携することを発表した。
NTTインフラネットは、広いカバレッジ(日本国土38万km2のうち約9割の34万km2のエリア)と、公共測量作業規程に則した1/2,500縮尺の位置精度、地上解像度25cm(東名阪中心エリアについては16cm)の「GEOSPACE 航空写真」を活用して、「GEOSPACE 電子地図」を整備している。
また、この航空写真は撮影時期を最適にすることで、雲や冠雪の影響を受けず、都市計画や地域開発、農林地管理の基礎調査、防災・減災対策などに活用されている。
一方ゼンリンは、日本全国1,741市区町村において、公共測量成果の活用や独自の調査手法により各種情報を収集し、地図データベースを継続して更新している。
この地図データは住宅地図やカーナビゲーション、インターネット地図サービスなどの製品を通じて活用されている。
今回NTTインフラネットとゼンリンの保有する情報アセットと地図整備ノウハウを融合することにより、全国の地図情報を高精度化し、豊富な意味情報を持つ「高度地理空間情報データベース」を共同で整備していくという。
これにより、両社が独自に整備・管理する意味情報の強化を図るとともに、相互に利用し、各種サービス・製品を高度化することが可能だ。
具体的には、ゼンリンが保有する道路ネットワークや交通規制情報、到着地点情報、建物種別、マーケティングコンテンツなどをNTTインフラネットで活用することが可能となるほか、NTTインフラネットが保有する航空写真や地番情報、施設情報をゼンリンが提供する建設・不動産業界向けのサービスや、マーケティング分野での活用が可能となり、既存サービスの高度化や新規サービスの創造によりビジネスの拡大を目指していく方針だ。
さらに、両社が共同で整備する「高度地理空間情報データベース」を、NTTグループが推進する「4D デジタル基盤」に提供することで、デジタルツインをより精緻にリアルタイム処理することが可能となり、複雑な街全体の緻密な予測・最適制御を実現し、マーケティングや、モビリティ、スマートシティの高度化に貢献していく。
なお、今回の業務提携では、2D地図データベースの整備から着手し、続けて3D地図データベースの共同整備が進められる。
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