昨今、交通分野の課題を解決するため、MaaS(Mobility as a Service)の活用が注目されている中、株式会社MaaS Tech Japanは、多様な形式・フォーマットで保有されているモビリティデータを連携させ、分析・予測を可能とする移動情報統合データ基盤(以下、MaaSデータ基盤「TraISARE」)の開発を2019年から進めてきた。
そして今回MaaS Tech Japanは、これまで開発を進めてきたMaaSデータ基盤「TraISARE」のβ版の開発が完了し、MaaSデータ基盤「TraISARE」を活用したユースケースの一つとして、「交通データ」と「人流データ」による混雑情報ダッシュボード 「PeopleFlow」を公開したことを発表した。
β版の開発完了により、MaaSデータ基盤「TraISARE」は国内の1万以上の交通事業者が保有する数々のデータ全ての取り扱いが可能となった。今後は、MaaSデータを保有する多くの交通事業者・自治体と連携し、MaaSデータ利活用のユースケースの創出、社会実装を目指す。
MaaSデータ基盤「TraISARE」の概要
技術的特長
- モビリティデータの「マルチモーダル統合」の実現
- モビリティデータの「リアルタイム活用」の実現
- モビリティデータの「解析の高度化」の実現
公共交通やモビリティサービスのデータを統合・接続し、案内や分析で活用することができる。
運行情報や需要データなどのリアルタイムデータを受け取って可視化・分析し、ユーザーや事業者のアクション策定に活用することが可能。
蓄積データの統計処理や機械学習分析、シミュレーションに基づいて、計画やオペレーションの改善・最適化に活用することができる。
β版で取扱可能なデータ
TraISARE β版では現在、交通事業者や自治体からデータを受け取り、それらデータを活用したソリューションの提供を行っている。今後は様々な企業と連携し、交通データ以外も含めて取り扱い可能なデータ種別を増やしていく。
活用イメージ
TraISAREのデータは、MaaSアプリ(交通アプリ、案内アプリ)や、交通事業者向け分析サービスなどとAPI連携することで活用可能。
PeopleFlowの概要
提供機能
- 平常時の混雑予測情報の提供(詳細の混雑予測情報の提供)
- 遅延時の混雑参考情報の提供(過去の類似日の混雑情報の提供)
期間中の任意の時間の、鉄道駅周辺エリアや混雑多発エリアの「混雜予測情報」を提供。人流データを「移動情報」として扱うことで、「どこからの流入が多いか」といった人の移動経路を加味した分析を行い、より精度の高い混雑状況の分析・予測情報を提供。
公共交通機関で遅延が発生した場合、遅延によって突発的な駅やエリアの混雜が発生することがある。そこで、現在の鉄道の運行状況(遅延情報)ともっとも類似した過去の日時の混雑情報を参考情報として提供。
PeopleFlowで活用しているTraISAREの技術的特長
- モビリティデータの「マルチモーダル統合」
- モビリティデータの「リアルタイム活用」
- モビリティデータの「解析の高度化」
「複数の交通事業者の在線情報」および「人流データ」という複数のモビリティデータを組み合わせて提供している。
リアルタイムデータである鉄道の在線情報を利用し、過去の在線情報との類似判定処理をその場で瞬時に行っている。
過去の混雜情報、在線情報の蓄積データに対して、統計処理機能、機械学習機能を適用することで、精度高い予測データの獲得および類似度判定を可能としている。
活用データ
- 鉄道駅・路線データ(公共交通オープンデータ協議会)
- 混雑統計データ(株式会社ゼンリン及び株式会社ゼンリンデータコム)
2020年1月1日〜2020年12月31日における過去実績データおよび、2021年1月〜3月の移動予測データ
対象エリア
首都圏エリア(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)
公開期間
2021年4月22日〜2021年5月31日(予定)
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