国内の上下水道事業は、主に市町村が事業運営を担っており、市町村の枠を超えた連携や一体的な事業運営を行う「広域化」を推進することで、上下水道事業の経営基盤を強化する機運が高まっている。
しかし、一般的に運転監視・制御システムは施設ごとにベンダー独自仕様となっており、データの互換性がないことから、施設間のデータ利活用は限定的な状況だという。
また、多くの浄水場の運転監視や維持管理の業務は、水道事業に携わる職員の経験やノウハウに依存してきたが、事業を安定して継続するためには、より一層の業務の効率化・省力化や技能・技術の継承が必要となっている。
そうした中、株式会社日立製作所(以下、日立)は、広島県、呉市、水ing株式会社の共同出資による民間主体の官民連携水道事業会社株式会社である水みらい広島(以下、水みらい広島)と日立から構成される共同企業体が、広島県より「水道広域運転監視システムの構築業務」を受注したことを発表した。
今回発表された業務は、広島県内の県営浄水場9カ所を対象に、ベンダーや仕様が異なるシステム間でも横断的にデータを活用できるクラウド上の共通プラットフォームと、日立のソリューション・サービス・テクノロジー「Lumada」を活用したアプリケーションなどを通じて、一元的に全ての施設の運転状況の監視や操作を行うシステムの設計・構築を行うものだ。

具体的には、国が水道事業におけるデータ流通の共通ルールなどを定めるために策定した「水道情報活用システム標準仕様(以下、標準仕様)」に準拠した、水道標準プラットフォームの開発およびセキュリティを有するクラウドサービスの提供を行う。
また、日立の上下水道事業向けLumadaソリューションである「O&M(Operation & Maintenance)支援デジタルソリューション」を活用し、県営浄水場9カ所を対象とした施設の運転監視・制御アプリケーションを、水道標準プラットフォーム上へ構築する。
さらに、ベンダーや仕様がそれぞれ異なる県営浄水場9ヶ所の既設運転監視・制御システムを連接するための機能増設を行う。
これらにより、広域の浄水場の運転状況の監視や操作の一元化を可能とし、運転監視業務の効率化を目指す。
システムの構築にあたっては、標準仕様を活用することにより、システム導入・維持コストの削減、広域連携におけるシステム間連携のしやすさなどの発展性が期待されている。
なお、今回構築するシステムには、既設システムの改造や更新において、汎用的なハードウェアやソフトウェアの導入が可能になる仕組みを持たせている。
日立は将来的に、今回の業務の成果を、Lumadaの上下水道事業向け総合デジタルソリューションに取り込むとしている。
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