過去に例のない東日本大震災に係る復興の経験と教訓を世界へ発信すべく、宮城県仙台市は「仙台防災枠組2015-2030」に沿って、あらゆるレベルでの総合的な災害リスク管理の策定をし、市民社会の視点から減災に取り組んでいる。
株式会社日立国際電気、ノキアソリューションズ&ネットワークス合同会社、ブルーイノベーション株式会社、アンデックス株式会社との共同企業体(JV)は、Jアラート(全国瞬時警報システム)と連動してドローンを自動運航し津波避難広報を実施する「津波避難広報ドローンシステム」を開発し、仙台市が2022年10月から同システムの本格運用を開始した。
同システムは、ネットワーク基盤として自治体専用のプライベートLTE網を活用し、Jアラートと連動して市内施設に設置されたドローン格納庫から、スピーカーおよびカメラを搭載した2機のドローンが自動離陸する。あらかじめ定められた海岸線や河口付近のルートを自動飛行しながら津波避難警報・注意報を発し、観光客や釣り人、サーファーなどに対し避難広報を実施する。
また、避難広報と同時に最前線の現場を上空から俯瞰的に撮影し、収集した情報を仙台市災害対策本部にリアルタイムに伝送し共有する。活動終了後はドローン格納庫に帰還し自動着陸・自動給電される。着陸の際は、規定以上の風速を観測すると、安全のためドローン格納庫周辺に緊急避難着陸する。これらの一連の機能は、自動実行され、職員の安全確保と省力化、有事での状況判断等に寄与する。
同システムは、以下のサブシステムから構成されている。
- システム管制プラットフォーム
- 全自動ドローン飛行制御システム
- プライベートLTEコアシステム
ドローンやネットワーク/IT機器などの状態や気象情報などの様々な条件を常時監視し、システム全体の運用管理を行い、安全かつ最適なドローンシステムの運用を実現する。
周辺状況や複数のドローンならびにドローン格納庫の稼働状況を、一元的かつリアルタイムに集約・管理し、自動で離陸命令を発信する。ドローンへの自動給電機能も有しており、一連の飛行・離着陸オペレーションを安全に遂行する。
自営無線であるプライベートLTEを活用したネットワークインフラを構築し、ネットワーク輻輳の影響を受けず、高いセキュリティを保った安心安全な運用が可能とした。
同システムの開発における各社の役割は以下の通り。
- 日立国際電気
- ノキアソリューションズ&ネットワークス
- ブルーイノベーション
- アンデックス
プロジェクト全体取り纏めとシステム・運用設計、システム管制プラットフォーム/プライベートLTEシステムの構築
プライベートLTE機器の提供
ドローン本体およびドローン格納庫、全自動ドローン運航・管理システムの提供
地域BWAとプライベートLTEの接続、免許申請
なお、同システムは、国の未来技術社会実装事業による支援を受け、津波情報伝達システム等の既にある避難広報手段の強化・多重化として開発したものである。
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