スマートシティの実現には、まちのデジタル化(可視化やシミュレーション)や市民参加の仕組みが重要である。しかし、デジタル化のために多数のセンサーを街中に設置し、そのデータを分析・活用するには、膨大なコストや時間を要することや、市民参加も一部にとどまり多くの人を巻き込めていない、といった課題があった。
西日本電信電話株式会社(以下、NTT西日本)、京阪ホールディングス株式会社(以下、京阪HD)、日本電信電話株式会社(以下、NTT)、株式会社NTTデータは、2022年10月に大阪・京橋駅周辺エリア(以下、京橋エリア)で「AIを活用したまちづくり」の検討開始を発表し、地域や企業・団体との意見交換を行ってきた。
このほど4社は、新たに協力パートナーを加え、取り組み内容が決定したため、実証実験を開始した。
同取り組みでは、京橋エリアに人が集まり・留まる施策を企画し、それをNTTとNTTデータが開発中のまちと人との接点となるまちづくりアプリ「みんなのスマートシティ(以下、みんスマ)」を通じて市民参加型コンテンツとして提供する。そして、実際に京阪HDの商業施設や商店街の滞留人口の増減を、NTT西日本が独自に開発したまちの分析・可視化・未来予測プラットフォーム「みんなのまちAI」で分析し、更なる滞留人口の増加によりまちの活性化をめざす。
みんなのまちAIでは、人流や建物のデータやその他のオープンデータを蓄積し、まちの詳細な情報を分析・予測し、デジタル上に再現する。同プラットフォームにより、今までわからなかった細かい粒度(メッシュ)での人の行動目的や行動予測が可視化され、より精緻な売上予測や混雑予測、交通シミュレーション等が可能となる。
また、市民参加型コンテンツの例として、以下が挙げられる。
- クエストに参加して、京橋エリアを再発見する
- すれ違い通信でカードを交換して、京橋エリアの人を知る
- クーポンを入手して、京橋エリアで使って楽しむ
みんスマからクエストに参加し「あなたが思う京橋らしさ」などテーマに沿った画像を地図に投稿する。市民で地図をつくりあげることで、みんなの力でまちの新たな魅力発見や困りごとの解決を進めていくことができる。
みんスマを起動してすれ違い通信機能をオンにしているユーザー同士がすれ違うと、アプリ上で設定しておいたプロフィールカードを交換することができる。これまで接点のなかった住民やワーカー、商店の店員などの緩やかなつながりを創出する。
みんスマでの投稿やすれ違いといった京橋エリアでの活動に応じて、京橋エリアで使えるクーポンを入手できる。それが商店街や地域密着の店舗に足を運ぶきっかけとなり、京橋エリアの活性化につながる。
同取り組みにおける各社の役割は以下の通り。
- NTT西日本:みんなのまちAIの開発及びまちの分析・可視化・予測、みんスマの連携機能の開発
- 京阪HD:商業施設などの実証フィールド提供、効果検証
- NTT:みんなのまちAIとみんスマの連携の有効性の検証
- NTTデータ:みんスマによる市民参加機能の提供、みんなのまちAIとの連携機能開発
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