スマートシティ ーDXキーワードテスト

特集「DX KEYWORD TEST」では、DXで必須となるキーワードに関するテストを実施。

さらに、4枚の図を使って、サクッと解説します。今回のキーワードは「スマートシティ」。全問正解目指してがんばってください!

100点を目指そう!DX KEYWORD TEST(18)


DX KEYWORD TEST第十八回は、「スマートシティ」について。

解説編

ここからは、DX KEYWORD TESTの設問を図解していきます。

人の暮らしをよりよくするスマートシティとは?

人の暮らしをよりよくするスマートシティとは

皆さんは日々の暮らしの中で、不便だと感じていることや、改善して欲しいことはありますか?

例えば、「通勤の時はいつも混んでいて疲れる」「近くで事件が起きたから子どもの通学が心配」「電気代が高くなって家計が苦しい」などの不満や心配ごとがあげられるでしょう。

こうした、まちに暮らす人々の課題を、ICTなどのデジタル技術を活用して解決していこうという取り組みが、「スマートシティ」です。

例えば、センサーやカメラをまちに設置することで、交通状況を把握して信号の調整や最適なルートを案内してくれたり、不審者を発見して通知してくれたり、データを分析することでエネルギーを最適に使えるように調整してくれたりと、まち単位で解決していこうという取り組みです。

また、現状の課題解決だけでなく、持続可能なまちづくりや、まちの中で新しい価値を生み出すためにデジタル技術を活用する場合も、スマートシティという言葉で語られることが多いです。

デジタル技術が発達してきたことにより、まちの課題も解決できそうだ!ということで、スマートシティが注目されています。

スマートシティを支える主な技術は、人とのやりとりを行う「アプリケーション技術」、データの蓄積やビッグデータの分析を行う「情報技術」、Wi-Fiやモバイルインターネットなどの「通信技術」、モノの状態を把握する「センシング技術」です。

スマートシティの構想は、携帯電話が普及しはじめた1990年ごろからありましたが、上記4つの技術がスマートフォンの普及で高度化されたことで、「いよいよスマートシティが実現できるのでは!?」と期待されています。

スマートシティの実現が難しい理由

スマートシティの実現が難しい理由

スマートシティが実現されれば、とても便利で快適そうだということがわかりましたが、実際にはまだまだ実現されていません。

その理由は、スマートシティを実現するのには、さまざまな課題があるからです。

ここでは、内閣府が発表している「スマートシティ・ガイドブック」であげられている、スマートシティを進めるうえでの5つの主な課題を紹介します。

課題①推進体制

一つ目が、推進体制です。

スマートシティを実現するには、異なる利害をもった、官民さまざまな組織が参加することが想定されます。

そのため、行政や地域まちづくり団体などの中立的な立場の組織が、スマートシティに関わる人たちが議論する場をつくって、利害の調整や合意形成、ルールの設定などを図る必要があります。

ここで、パーソナルデータ(個人情報)の取り扱いやルール、リスクマネジメントなどについても、検討する必要があります。

課題②資金的持続性

二つ目が、資金的持続性です。

スマートシティを実現するには、データを収集したり、収集したデータを蓄積・分析したりするための初期費用や運営費用がかかるため、資金調達や収益モデルの確立が課題になります。

理想としては、まちにおけるデータが新たな価値を生み出して、そこで生まれたお金で運営していけるかたちでしょう。

しかし現状では、行政をはじめ、利用者、民間、寄付、他事業の収益など、さまざまな関係者に納得できる形でまかなってもらう必要があります。

また、はじめは小規模からはじめ、いろいろな地方や地区でシステムを共有して活用するなどの、費用の縮減努力も重要です。

課題③市民参画

三つ目が、市民参画です。

第一章でもお伝えした通り、スマートシティは人の暮らしをよりよくすることが大きな目的です。

そのため、市民ひとりひとりが当事者として参画し、市民の意見やニーズを反映させることができる仕組みを構築する必要があります。

まずは、アドバイザーなどの専門家の協力を得ながら、「スマートシティとはなにか、どのような効果があるのか」などについて、大学や公民館、学校教育などとも連携しながら情報発信することが推奨されています。

課題④都市OSの導入

四つ目が、都市OSの導入です。

都市OSとは、防災・防犯・交通など、まちのさまざまな分野のデータを収集して、分析・可視化・予測などを行うために開発されたソフトウェアプラットフォームです。

都市OSを導入するには、技術的な課題や、データの統合を行うのが難しいなどの課題があります。

また、都市OSはデータが集まらなければ役に立たないため、求められるデータを認識して、そのデータを探してマッチングを図る必要もあります。

課題⑤KPIの設定

五つ目が、KPIの設定です。

KPIは、定めた目標に対して、どれくらい達成しているかを測るためのプロセスや、その結果の指標です。(KPIについての解説は「KPI/KGI ―DXキーワードテスト」を参照してください。)

スマートシティにおいても、成果を評価するために、指標を設定したり、評価方法を確立したりする必要があります。

指標の設定にあたっては、「わかりやすく具体的であること」「過度な負担なく簡易に可能であること」「目標として低すぎる、高すぎることなく達成可能であること」などがあげられています。

そして、KPI自体も定期的に評価をして、必要に応じて計画の更新や、プロジェクトの改善を行うことが望ましいです。 このように、スマートシティを実現するには、多くの課題をさまざまな関係者とともに乗り越える必要があります。

スマートシティ実現へ向けたさまざまな取り組み

スマートシティ実現へ向けたさまざまな取り組み

スマートシティの実現には、多くの課題があることがわかりましたが、それを乗り越えようと、行政や民間企業などがさまざまな取り組みを開始しています。

例えば、内閣府、総務省、経済産業省、国土交通省(以下、各府省)は、スマートシティを官民で連携できるよう、共同で「スマートシティ官民連携プラットフォーム」という組織を設立しています。

「スマートシティ官民連携プラットフォーム」には、企業や地方公共団、大学や研究機関、関係府省などが会員として参画しています。

各府省は、スマートシティ関連事業を公募して、事業を選定します。選定された会員は、資金やノウハウ、マッチング支援や普及促進活動などの支援をうけることができます。

このプラットフォームを軸に、官民が一体となって、全国各地でさまざまなスマートシティ関連事業を推進しています。

また、スマートシティへの取り組みは世界中で実施されていて、まちの状態によって取り組み方が少し違います。

日本は多くの地域において、すでに道路や電気・ガス・水道などの基本的なインフラが整っているうえで、それらの老朽化が問題になっています。

そのため、建物や設備の点検や管理、更新などをメインとした、まちを再開発するかたちで進められることが多いです。

こうした、既存のまちにおいてスマートシティを実現することを、「ブラウンフィールド型」と言います。

一方、インフラが整っていない新興国では、全く新しくまちをつくっていきます。

こうした、全くのゼロからスマートシティを構築していくことを、「グリーンフィールド型」と言います。

日本においても、トヨタが自社の工場跡地に、自動運転やAIなどの技術を活用した「WOVEN CITY」というまちを構築しようとしていて、これはグリーンフィールド型にあたります。

スマートシティの取り組みは、インフラの状態や主導組織がどこか、人が住んでいるかいないかなど、対象のまちの状況によって目的や進め方が異なります。

暮らし続けたいまちを目指す「スマートシティ会津若松」

暮らし続けたいまちを目指す「スマートシティ会津若松」

福島県会津若松市は、全国と比較しても人口減少が早く進行していて、雇用や税収の減少、福祉に必要な費用が増大するなどの課題がありました。

また、リーマンショック以降、地場のメーカーが工場をもたずに製造を外部に委託する「ファブレス化」が進んでしまい、市のICT専門大学である会津大学の卒業生は、約8割が県外へ就職してしまうという状況でした。

そこで、2013年より、健康や福祉、教育や防災、エネルギーや交通など、さまざまな分野でICT技術を活用したまちづくり「スマートシティ会津若松」の取り組みをスタートさせました。

市がもつオープンデータや、市民から同意を得て提供されるさまざまなデータを活用し、5年間で16のデータを活用した実証事業を実施して、市民の生活をよりよくするサービスを提供しています。

例えば、会津若松市内500世帯に電力消費測定装置(HEMS)を設置して、電力を見える化させることで、最大27%の電力削減を実現させました。

その他にも、医療、行政、観光、防災、決済、食・農などのデジタルサービスを実装している都市OSを導入したり、位置情報を活用した災害時のサービスを提供したり、住民の行動履歴や登録情報に応じて情報コンテンツやサービスを提供する「会津若松プラス」を実施したりと、さまざまな取り組みを実施しています。

また、2015年には、産官学金労言が一体となって地方創生を推進する「まち・ひと・しごと創生包括連携協議会」を設立しました。

これにより、アクセンチュア、シスコシステムズ、インテル、イオンなど、多くの企業が参加して、企業ごとの役割を分担しつつ、一体的な取り組みを実施しています。

例えば、会津地域や東北地域における広域観光の取り組みや、IoTヘルスケア事業に関する取り組み、農業・観光に関する取り組みなどが実施されています。

さらに、会津大学とアクセンチュア が共同で都市OSに関する研究を実施したり、アクセンチュア の社員が講師となりアナリティクス人材を育成する講座を実施したり、新たな人の流れと雇用を生み出すICTオフィス「スマートシティAiCT(アイクト)」を開所したりと、人材育成や雇用を生み出す取り組みも盛んに行われています。

100点を目指そう!DX KEYWORD TEST(18)


DX KEYWORD TEST第十八回は、「スマートシティ」について。

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