石川県加賀市と株式会社Liquidは、顔認証とマイナンバーカードによる公的個人認証を活用した生体パスポートにより、市内で買い物や施設利用といった様々なサービスが利用できる「加賀市版スマートパス構想」を始動し、年度内に試験運用を実施した後、2024年春に市内施設での本格提供を順次予定している。
「加賀市版スマートパス構想」は、顔認証による生体パスポートにより、様々なサービスを手ぶらで受けられるというものだ。
身元確認保証レベルである「IAL」の最も高いレベル3で、マイナンバーカードによる公的個人認証の結果をもとにした生体パスポートにより、医療機関、屋内遊戯施設、避難所、観光施設、行政手続きなどのサービスにおいて、個人認証が可能な仕組みを構築する。
また、決済情報も紐づけることで、交通機関や買い物などのユースケースを市内全域に拡大していく。
なお、「加賀市版スマートパス構想」で活用する生体パスポートは、株式会社Liquidが今年度開発中の「デジタル身分証アプリ」を活用する。
中長期構想の例として、医療機関での受診予約から問診票への回答、当日の受付や決済までを生体パスポート上で行い、受診当日は受付のみで済む仕組みの整備などが挙げられている。
今年度は、各施設での顔認証を実現するための⽣体パスポートと、マイナンバーカード受付の2種類の個人認証⼿段を提供する。
生体パスポートは、利用者のスマホでアカウント登録を実施する。アプリでアカウントを作成し、マイナンバーカードによる公的個人認証で本人確認を行い、顔情報を登録する。
個人認証方法は、施設に設置された顔認証端末に顔をかざして認証する。
マイナンバーカード受付は、事前のアカウント登録はなしで、個人認証方法は、施設に設置されたマイナンバーカード受付用端末で認証することができる。
また、スマホを利用できない方も生体パスポートが使えるように、家族の情報に紐づけて登録することが可能だ。これらの仕組みを今年度中に開発し、施設への本格提供は2024年春を予定している。
今年度の取り組み
医療機関「加賀市医療センター」
診察券の代わりに生体パスポートもしくはマイナンバーカードで受付できるようにし、診察券レス化を実現する。
期待できること
- 顔認証で受付できるようにすることで、手続きを簡素化し受付時間の短縮につなげる。
- 現状の受付はマイナンバーカードと診察券の両方が必要だが、マイナンバーカードによる保険情報の資格確認と受付を同時に行えることで、診察券が不要となる。
屋内遊戯施設 「かがにこにこパーク」
これまで、市内の未就学児・小学生に配布される「にこパス」を入場時に提示することで、市⺠は無料で施設利用が可能であったが、今後は、生体パスポートもしくはマイナンバーカードで入場できるようにする。
期待できること
- 市民がにこパスを忘れた場合には、紙の書類による事務手続きが発生していたが、顔認証により運営スタッフの確認業務が削減される。
- 混雑時は受付手続きに時間を要して待機列ができることもあったが、顔認証による受付により、待ち時間が短縮される。
避難所
災害時の避難所に顔認証およびマイナンバーカードの読み取り可能な端末を設置し、生体パスポートもしくはマイナンバーカードによる緊急避難時の本人確認を可能にするとともに、罹災証明書の発行に登録データを活用する。
期待できること
- 避難者は、「避難者受付簿」に手書きで記入する手間をかけず、顔認証をすることで受付をすることができる。
無料メルマガ会員に登録しませんか?
IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。