大規模な商業施設やオフィスビルでは自動検針システムの導入が進んでいるが、中小規模の商用テナントビルでは、自動検針システムを導入しようにも、システム機器の用意、設置、配線・結線作業といった大掛かりな工事が必要で初期費用が高額となるため、オーナーが導入を見送るケースが多々あった。管理会社も社員の高齢化や人材不足、あるいは検針業務にまつわる労災等により検針業務の負担が増しており、検針業務の効率化・省人化は不動産管理において急務な課題となっている。
一方で、企業の脱炭素化に向けた取り組みも加速しており、各テナントへのエネルギーデータの提出要望も増えており、ますます検針関連業務の効率化が必須になっている。
大崎電気工業株式会社は、同社が提供する自動検針ソリューションにおいて、既存のメーターを大崎電気が独自開発したIoT型スマートメーターに交換するだけで、検針データの収集、各テナントの電力使用量の見える化までをワンストップで行うことのできる新たな製品ラインナップを加え、遠隔自動検針サービス「らくらく検針」のサービスを開始した。
従来の検針作業では現地へ訪問する必要があるため、テナントとの入室日時の調整の手間や作業時間の制限、遠方地への移動、交通事情などによる作業遅滞、複数棟の対応に時間と人手を要していたが、同サービスは、遠隔化を実現することで現地作業そのものが不要となる。複数の施設を一元管理できるため生産性向上に寄与する。
また、通常のメーター交換とほぼ同様の作業で導入ができるため、工事にかかる負担を軽減する。1台から設置できるため計測点数の少ない中小規模の商用テナントビルのオーナーや管理会社も導入しやすい。
さらに、同サービスは「スマートメータータイプ」と「計器+端末器タイプ」の2タイプが用意されている。既設メーターのタイプや計器盤の寸法、スペースに応じて選択できる。電気室の位置や環境に応じて電波環境の良い位置へアンテナを延長することもできる。
電文式メーターは、乗率の設定が不要なため設定のヒューマンエラーのリスクがなく、また計器の指針値情報をそのまま取り込むため、より正確性を高め安定した計測を実現する。
人の手による作業では検針数値の読み違いや書き違いが生じることがあり、誤請求を招くリスクがある。また、ダブルチェックの実施など間違いを防止するための間接コストも潜んでいたが、同サービスはテナント毎の検針値を自動で算出するため、誤検針を防止するとともに、料金計算のミスや業務負荷を低減する。時間帯毎のデータを取得できるため、テナントの入れ替えなどで生じる臨時の検針業務も遠隔で対応可能だ。
加えて、複数の施設・テナント毎の検針データや設置されている計器情報を台帳化する。証憑となるデータやテナント情報の管理を容易にし、また、法令で定められた計量器の有効期限の管理やお知らせにより、施設の法令順守や計量器の更新に向けた早期の計画化を支援する。
少数から遠隔自動化、テナントや時間帯毎の使用量データ取得、料金請求へ利用可能という特性から、太陽光発電設備等の計測による発電状況の監視やPPA事業における請求用途、施設の所有者と入居する企業双方の脱炭素推進や法令対応に向けたエネルギー使用実態の把握など、社会や企業の脱炭素への取り組みにも貢献する。
同サービスを活用して不動産所有者や管理者の検針業務を「遠隔化・自動化」することで、誤請求軽減等の業務負担軽減と各テナントへのエネルギーデータ開示を両立させる。
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