日立市と株式会社日立製作所は、「デジタルを活用した次世代未来都市(スマートシティ)計画に向けた包括連携協定」を締結し、共創プロジェクトを推進することを発表した。
今回締結された協定では、日立市総合計画の目標のうち、デジタルとの親和性が高いテーマを定め、実現計画の具体化・実行を進めていく。
まず、優先的に「グリーン産業都市」「デジタル医療・介護」「公共交通のスマート化」の3テーマに取り組み、具体的な施策で実効性の検証を推進する。
「グリーン産業都市」では、産学金官連携による地域脱炭素社会の実現をめざし、デジタル技術を活用した地域内再生可能エネルギーの融通などにより、中小企業を含む地域産業の脱炭素化の促進を図る。
具体的には、中小企業の脱炭素経営を支援する体制づくりとして、産学金官連携による「日立市中小企業脱炭素経営促進コンソーシアム」内に「地域GX推進分科会」を設立し、情報共有と施策の検討を行う。
また、日立製作所 大みか事業所での脱炭素化に関する取り組みを生かし、日立市が「中小企業脱炭素経営支援システム」を構築・運用することで、CO₂排出量の見える化や削減のコンサルティング、削減策実行の支援なども行う。
その他にも、日立市内に事業所をもつ企業の従業員向けに、EVリースや職場充電が可能な環境の提供や、スマート住宅団地・産業団地の計画などを検討していく。
「デジタル医療・介護」では、住民が医療等によりアクセスしやすくするためのオンライン化の推進を始め、住民の健康・医療・介護に関わるデータを、行政、医療機関、介護事業所や家族などで共有する環境をつくり、データに基づく医療や介護などのサービスを提供する。
具体的には、健診データなどに基づく将来の疾病リスク分析や、その予防に向けた市でのさまざまな健康増進事業を連携させた一人ひとりの状態に合わせたサービスの提案などが考えられている。
さらに将来的には、PHR(個人の健康に関する情報)を一元的に管理し、それらを活用した住民の健康状態の見守りや、生活習慣・行動改善アドバイスなどに取り組んでいくとしている。
「公共交通のスマート化」では、多様な移動手段を組み合わせた移動しやすい公共交通の実現を目指し、デジタル活用を検討する。
まず、2035年の「日立市の交通のあるべき姿」をグランドデザインとして、そこからバックキャストする形で、具体的な施策を段階的に実行していく。
例えば、AIなどのデジタル技術を用いて、利用者の多様なニーズに応える移動のシームレス化の検討や、自宅から路線バスなどの公共交通の結節点まで、あるいは市街地の移動手段として、歩行者と共存可能な次世代モビリティの検討を進めていく。
なお、プロジェクトを推進しながら、両者の議論により必要なテーマは適宜追加するとともに、産学金官連携でのエコシステムの拡充にも対応していくとしている。
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