人吉市、株式会社ウフル、株式会社システムフォレスト、セイノーホールディングス株式会社(以下、セイノーHD)、株式会社NEXT DELIVERY は、人吉市で災害時の緊急物資輸送を想定したドローン配送の実証実験を2023年11月21日に実施した。
この実証実験では、高齢者、乳幼児とその保護者、アレルギーを持つ人など、多様な属性の25人の参加者からパーソナルデータを得て、ウフルのデータ・サービス連携基盤に集約・管理、都市OSと連携させた。このデータを基に、参加者の属性に合わせた観光と防災の分野での取り組みを実施した。
観光分野では、参加者のパーソナルデータ(例:アレルギー情報、乳幼児連れなど)を基に、属性に合った飲食店を観光デジタルマップ上で表示し、参加者はこのマップを使って飲食店の予約を行うことができるようにした。
飲食店側では、参加者の提供したパーソナルデータ(アレルギー情報等)を考慮して、来店に向け調整された食事メニューを提供する。
この一連の体験の後、参加者からのフィードバックをヒアリングし、サービスの効果と改善点を評価することができたのだという。
防災分野では、災害時を想定した上で参加者は避難所へ避難し、スマホなどのデジタル機器でチェックインをすることで、参加者のパーソナルデータ(例えば、子ども連れや高齢者など)を基に、各避難所の避難者属性をダッシュボードに表示した。
その後、参加者の属性に応じた支援物資(例えば、乳幼児向けの粉ミルクなど)が近隣施設から、必要性、緊急性など状況に応じてドローンとトラックを用いて届けられた。
ドローンによる配送は、2020年7月豪雨時に顕著化した課題解決に向け実施した、球磨川氾濫時に隔離される地域を想定した配送を実施し、災害時の即時対応の有効性が検証された。
そして、防災分野同様に参加者からのフィードバックをヒアリングすることで、実験の全体的な効果と改善点を評価した。
人吉市総務部防災課の鳥越課長は、「ドローンによる物資運搬は、土砂災害や洪水などにより交通手段が途絶えた時に有効的な手法だと思います。また、ライフライン(通信)が途絶えた時にも自治体と警察や消防との情報共有手段としても活用できるのではないかと思いました。」と述べている。
今後は、今回の実証実験を通じて、データの活用方法や住民の同意プロセス、データの追跡方法など、データ利活用に関する機能を検証するとしている。
さらに、有識者の助言・監修を受けながら、情報銀行において住民や観光客のパーソナルデータを取り扱う上でのルール整備の指針を提案する予定だ。
なお、この実証実験は、総務省が主導する「情報信託機能を活用したスマートシティにおけるデータ利活用に係る調査」の一環として行われたものだ。
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