現在、高度経済成長期に整備された社会インフラの老朽化が進んでおり、全国70万橋の5年に1回の点検が義務付けられている。
点検業務において発見された損傷の補修計画の作成のためには、その発生原因の診断が必要だが、損傷原因を診断する人材の不足や、手間やコスト、診断結果のバラつきなどが課題となっている。
こうした中、株式会社フルテックと株式会社インテックは、「橋梁損傷原因のAI診断支援技術」の研究開発を行ったことを発表した。
「橋梁損傷原因のAI診断支援技術」は、フルテックが提供を開始した、アルカリシリカ反応を対象にAI診断を実施する「橋梁損傷原因のAI点検システム」において、橋梁の損傷要因に関する一次判定を行う時に使用するものだ。
AI診断モデルに橋梁の損傷状況などの必要情報を入力することで、損傷要因の発生の可能性の一次判定を行い、その結果を出力する。

ひび割れなどの損傷情報だけでなく、コンクリートの損傷発生に影響を与える設計、および周辺環境に関する情報も加味した学習データからAIモデルを生成しており、この仕組みにより判定精度を向上させている。

さらに、ひび割れなどの損傷情報を記載したCADファイル(損傷図)から損傷情報を入力可能。ひび割れの密度など、必要な損傷情報の入力をCADファイルから自動計算して行うことができる。(トップ画参照)
また、従来のAI技術では、利用者に診断結果についての説明ができないという課題があったが、「橋梁損傷原因のAI診断支援技術」では、結果だけでなく、その理由として結果に大きく影響を与えた入力情報を提示する。

今後は、損傷原因の種別として現在非対応の「疲労」などへの対応の追加や、さまざまな現場での利用結果をAIモデルに反映させることによるさらなる精度向上を目指すとのことだ。
無料メルマガ会員に登録しませんか?

IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。