森ビル、都市全体の震災リスクを見える化する「土地建物格付けシステム」の研究開発が完了

森ビル株式会社は、国立研究開発法人建築研究所より株式会社小堀鐸二研究所と共同で、受託した委託事業の一環として独自開発したIoT技術による「土地建物格付けシステム」の研究を完了し、研究結果において目標達成の評価を受けたことを発表した。

「土地建物格付けシステム」は、地震発生時の揺れ特性を観測するデータを、地盤と建物に設置されたローパワーネットワークセンサを通じて収集するシステムだ。各建物の揺れ性能を分析・格付けすることで、都市全体の震災リスクを可視化・定量化する。

地震時の地盤と建物の揺れを測定する小型センサは省電力かつ無線式で、得られたデータを独自のアルゴリズムにより解析する。

これにより、各建物の揺れ性能について定量評価と格付け(ランキング化)を実現し、各ビルの所有者や管理者などが適切な震災対策を実施することで、都市全体の震災リスクの低減に貢献する。

森ビル、都市全体の震災リスクを見える化する「土地建物格付けシステム」の研究開発が完了
「土地建物格付けシステム」の概要図

委託事業では、センサのプレ量産機の仕様を確定し、通信量圧縮のための実装プログラムを開発。省電力での長距離データ通信をローコストで実現し、揺れ性能評価システム開発を行った。

研究は2020年3月から開始し、2023年3月に研究開発が完了した。その成果は国立研究開発法人建築研究所から目標達成と評価され、2024年1月31日には特許を取得。今後は事業化に向けた検討を続けるとしている。

なお、国立研究開発法人建築研究所の公表資料によれば、中小地震の揺れのデータ活用の可能性に着目した研究開発を行い、安価な省電力型無線ネットワークセンサを開発、その性能が従来のセンサと同等であることが確認された。また、無線通信や環境対応性などの運用上の知見を得たとしている。

さらに、新しい地震時の揺れに関する性能評価手法を考案し、17棟の建物にセンサを実設置してクラウドシステムで地震時の揺れ性能評価を実施した。資産管理部門や金融機関への調査により、法定耐用年数を超えた建物の建て替え判断に際して、建物の揺れの性能評価が役立つことが示唆されたのだという。

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