ジオテクノロジーズは、同社が保有する人流データとAI技術を活用し、住宅街の交差点の事故リスクを評価する「交差点リスク推定モデル」の開発に成功した。
今回開発された「交差点リスク推定モデル」は、人流データから全ユーザの通行軌跡を生成することにより、交差点における通行パターン(直進・右折・左折)を識別し、交差通行量と合流通行量をリスク推定因子として取り入れている。
また、ジオテクノロジーズの人流データには、車両だけでなく歩行者の情報も含まれており、歩行者特化の通行軌跡作成が可能である。これにより、車両同士の事故リスクだけでなく、車両と歩行者の事故リスクも評価することが可能だ。
例えば、下図左のように、互いに向かい合った直進は互いに接触はしにくく、下図右のように交差する直進同士や合流する通行同士は互いに接触する恐れがある。このように交差通行量、合流通行量の推定因子を取り入れることで、単純な通行量からの推定と比較して推定を行うことができる。

そして、特定エリアにおけるリスク推定結果と事故情報を比較し、精度検証を行った。具体的には、リスク推定の結果のうち、ある一定のリスク値を超えた地点を危険な交差点と設定し、交通事故統計情報による実際に事故が起きた交差点と比べることで精度検証した。
その結果、危険と判定された交差点数は115件と、全体の13,787件に比べると非常に少ない件数にも関わらず、その中で実際に事故が発生していた件数は70件と高い割合で一致することが確認された。
これは、実際に事故が起きていた危険な交差点を、高い精度で割り出すことが可能であることを示したと共に、外した45件の交差点に対しても事故は起きていないものの、事故が起きている交差点と同様の特徴をもった潜在的に危険な交差点であるということを示している。

また、交差点リスク推定モデルにおける各事故種類のリスク推定において、特徴の寄与度を大きい順に抽出したところ、車両同士の事故、車両と歩行者の事故のいずれにおいても、交差通行量と合流通行量が高い割合で寄与していたほか、車両と歩行者のリスク推定においては歩行者に関する特徴も高い割合で寄与していた。
これらのことから、抽出した特徴の中でも、特に交差通行量と合流通行量がリスク推定の精度向上に大きく貢献していることがわかる。さらに、車両と歩行者の事故リスクを推定する場合、最も寄与している特徴が歩行者の交差通行量であることから、歩行者の情報が推定の精度を高めるために重要な要素であることがわかった。

今回は、時間帯を考慮しない交差点の普遍的なリスクを推定するモデルであったが、今後は時間帯ごとのリスクを推定するモデルの開発を進める計画だ。
また、対象交差点の範囲を拡張して、信号機がある交差点も含めてリスク推計できるようにモデルを構築した上で、エリアを全国に拡張して評価するなど、製品化に向けた取り組みを進めていくとしている。
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