富士川町役場では総合窓口を設けておらず、入り口に最も近い会計課が窓口対応している。富士川町の人口は1.4万人で、1日あたりの平均来庁者は80〜100名程、そのうち窓口で対応するのは30〜50名程だ。
平均10分の間に1人の窓口対応が必要だが、職員に窓口案内業務だけを任せるには業務量が少なく生産性が低いため、富士川町役場は新庁舎の開設時に窓口を撤廃した。
しかし、他業務を担当している課が案内業務も並行して対応することで、通常の業務効率が落ちてしまうという課題があった。
そこで一般社団法人公民連携推進機構は、同機構会員自治体である山梨県富士川町とともに、「庁舎内案内ロボット」の活用について、同機構会員企業の株式会社DFA Robotics(以下、DFA)に依頼し、自走型AI案内ロボット「Timo(ティモ)」による来庁者案内実証実験を実装した。
今回導入された「Timo」は、DFA Roboticsが取り扱う自走型AI案内ロボットだ。キーワードを学習させることで、音声認識による目的地案内が可能だ。ナビゲーションにLiDARとカメラを用い、周囲のものを読み取ることで、人や障害物を避けて自動走行する。
また、「Timo」はAIを搭載しているため、利用者が「マイナンバーカードを受け取りたい」など用件を伝えることで、対応窓口を音声で示し、目的地まで走行して案内が可能となる。
今回実証実験にあたり、DFA Roboticsは事前に富士川町役場にて来庁者調査を行い、実際の来庁者の問い合わせ内容に対応するよう、会話機能をカスタマイズした。
また、実際の来庁者と職員の会話のやりとりを調査し、1,800単語以上をロボットに学習させることで、ディスプレイ上での表示のない来庁者の細かい要望に対しても案内が可能となった。
実証実験では、「Timo」を庁舎の入り口付近に設置。ディスプレイ上部には各課のボタンが表示されていて、ボタンを押すことで案内が可能となっている。
来庁者が「Timo」に話しかけると、音声で回答し、ディスプレイ下部の吹き出し部分にも回答が表示される仕様だ。
富士川町役場政策秘書課 土橋学氏は、「今のところは想定通りに動作しており、先進的な実証実験ができたことに町としても非常に喜ばしい。今後は、案内機能の応答バリエーションの改善なども取り組んでもらえるとのことで、さらなる効果に期待している。」と述べている。
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