三菱電機株式会社は、同社独自のデジタル基盤「Serendie(セレンディ)」を活用して、鉄道事業に関わるエネルギーの最適利用や鉄道アセットの最適配置・運用に向けたデータ分析サービスの提供を、2024年7月11日に開始した。
同社は今回、デジタル基盤「Serendie」を活用し、車両・変電所・駅の電力使用量や列車運行状況等のデータを組み合わせて分析することで、最適な解決策や活用方法を提案する鉄道向けデータ分析サービスを開始する。
このサービスでは、三菱電機が培ってきた鉄道事業分野における知見と、新たに構築したデジタル基盤「Serendie」を組み合わせてデータ分析を行い、鉄道事業者特有の課題を把握する。また、分析結果をわかりやすくフィードバックすることで、省エネ施策の検討を支援するというものだ。

例えば、鉄道車両のブレーキ時に発生する回生エネルギーの余剰電力(以下、余剰回生電力)を見える化した情報の地図上マッピングをもとに、駅舎補助電源装置「S-EIV」の適切な配置場所や、駅の混雑度・運行ダイヤ・運行状況に応じた鉄道アセットの最適な運用方法を提案する。

また、余剰回生電力が発生しやすい場所・時間帯や発生電力量を特定し、地図上にマッピング(下図左)して、グラフ化(下図右)することで、投資回収効果に関するデータの提供とともに、駅舎補助電源装置(S-EIV)の最適な設置箇所を提案する。

さらに、路線全体の余剰回生電力や、鉄道車両が走行時に使用する電気の電圧「き電電圧」を見える化し、車両搭載機器の効率と回生電力発生時の電圧上昇量を考慮した変電所電圧の最適値を提案する。
他にも、デジタル基盤「Serendie」を活用し、電力使用状況、列車運行状況、乗車率、駅の混雑度、気象等のデータを蓄積し、分析。その結果に基づき、最適な列車運行計画の策定を支援するとともに、ピーク電力抑制による変電所設備のスリム化の提案などが挙げられている。

この提案をもとに、鉄道事業者の設備導入や列車の省エネ運用を継続的にサポートし、鉄道アセット連携と省エネ運転を融合することで、エネルギーの運用最適化に貢献する。
さらに、鉄道分野で収集したデータを分析・活用し、沿線地域の電力システムとの連携をサポートすることで、沿線地域全体でのエネルギー供給の最適化実現による脱炭素化推進に貢献するとしている。
今後は、鉄道分野・鉄道関連分野で収集したデータを分析・活用し、沿線地域の電力システムと連携することで、地域全体でのエネルギー最適化への貢献を目指す。
さらに、データを基にしたエネルギー最適化の取り組みに加え、駅などの公共性の高い場所に非常用電源設備を確保することで、災害レジリエンスを強化する等、総合的な地域貢献を推進する計画だ。
無料メルマガ会員に登録しませんか?

IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。